ビートルズ考
【1月30日 記】 最近ビートルズについていろいろ考える。ビートルズについての分析的な動画もよく見る。
例えば、この動画
や、この動画である。
この辺りを見ると、如何にビートルズが独創的ですごいバンドだったかが分かる。
僕らの世代には割とあったことだと思うのだが、ビートルズが出てきたとき、彼らは僕らの親たちによって否定された。僕の場合は父親が鼻で嗤いながら、「下手くそやなあ」などと言っていた。
僕らはその頃まだ小学生で、「ミュージックシーンに登場する前」だったので、ついつい親たちのそんな評価を鵜呑みにしてしまっていた。
僕らの親たちは、その時代、まだ音大出の歌手が少なくなかった日本の歌謡曲よりも程度の低いものとしてビートルズを見ていたのである。
確かにポールやジョンは霧島昇や淡谷のり子より歌が下手だったかもしれない。いや、ポールもジョンも決して下手くそなんかじゃなかったと思うし、そもそも比較するところに無理があると思う。
そして、逆に言うと、僕の父親らには歌(主旋律)を聴く習慣しかなく、アレンジのことなんか何も分からなかった(と言うか聴いていなかった)ということでもあるのだが…。
でも実際には、ビートルズのやっていた音楽は相当程度の高いものであり、ポールのベース運びはとても独創的で、ジョージはギターの達人だったのだ。
にも拘らず、父親のひとことによって、僕は長らくビートルズが程度の低い歌と演奏をしていると信じてしまったのである(さすがに楽曲の素晴しさについては、抗いようもなく体感していたが)。だから、高橋幸宏が、最も影響を受けたドラマーとしてリンゴ・スターを挙げているのを聞いてびっくりしたのである。
リンゴは巧かったのだ! そう言われれば、僕は『ジ・エンド』のドラム・ソロをいつもカッコいいなあと思って聴いていたではないか!
なのに親の刷り込みによって、耳と心では彼らの音楽を楽しみながら、頭の中ではいろんなところで彼らを過小評価していたのである。
今は上で紹介したような動画が簡単に見られるようになって、ほんとうに良い時代が来たと思う。ビートルズは単なるメロディ・メーカーとしてではなく、アレンジャーとしてもプレイヤーとしても、そう、バンドとしてすごかったのである。
この歳になってしみじみ思う。親は幼い子供たちに安易に余計なことを刷り込むべきではないのである。
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