CX『志村けんとドリフの大爆笑物語』
【1月5日 記】 録画しておいた CX『志村けんとドリフの大爆笑物語』を漸く観た。福田雄一の脚本・演出だし、僕の周囲では結構評判が良かったし、配信もものすごく回っているので、もっと面白いかと思ったが、僕にはちょっと期待外れだった。
まず、構成がひどい。CM明けで何度か振り返りのダイジェスト映像を見せられて早く先が観たいとイライラするし、逆に CM渡しでこれから観るシーンの一部を先出しされて、本編で観た時の感動がなくなるし…。
CM も多いし提供チェンジも多かった――これはテレビ番組としてどうだったのか調べてみないと分からないが、テレビとしては普通であっても今や SVOD に慣れてしまった視聴者には多く感じてしまうのかもしれない。
要素としてコントを入れ込まなければならないのは当たり前なのだが、その入れ方が稚拙で、ドラマとしてあまりにまとまりがない感じになったのは残念。例えば去年の4月クールに日テレが放送した『コントが始まる』と比較すると、そのまとめ方の巧拙がよく解るだろう。
志村けんを演じた山田裕貴は本当はもっともっと巧い役者だと思うが、自分と外見的にあまりにかけ離れた役柄でちょっと気の毒だった(じゃあ、誰がやれば良かったかと言われると全く思いつかないのだが…)。
どんなに巧い役者であったとしても、こういうケースは自分として最高の演技をすればそれで良いというものではない。どうしてもある程度は志村けん本人に似せなければという思いもあるはずで、そこら辺がうまく噛み合わなかったという印象を持った。
その点、いやりや長介を演じた遠藤憲一と加藤茶に扮した勝地涼の2人は、元々外見的に本人たちと近いところがあったこともあり、非常に良かった。役者としての巧さも十全に伝わってきた。いやぁ、ほんとに、2人とも実に巧かった。
コントの再現部分は良かったのだが、ドラマとしてもっとちゃんと組み立ててほしかったなというのが僕の思い。そこにこだわりなく大笑いしてコントを観た人たちがネット上で褒めているのかなと思う。
あと、女性があまりにも少ない。志村けんの私生活にその要素が少なかったのかもしれないが、ドラマとしては少しは恋愛的な要素もほしかった気がする。
山田裕貴は好きな役者なので、次の作品に期待したい。
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