映画『呪術廻戦0』
【12月25日 記】 映画『呪術廻戦0』を観てきた。
『呪術廻戦』については、僕は原作漫画こそ読んでいないが、テレビアニメのほうは、かなり前のめりに、相当入れ込んで 24話全てを観ている。
本編に対する前日譚のタイトルに「0」をつけるというのは一体いつごろからどの作品で始まったのだろう。僕の観た映画の中では 2007年の『クローズZERO』かな。
ということで、この映画もテレビアニメに対しては前日譚ということになる。ただし、後から作られたのではなく原作の漫画『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』に基づいている。ちなみに、今回の鑑賞特典として『呪術廻戦0.5』という小冊子がついてきた。
というわけで、主人公は虎杖悠仁ではない。虎杖が呪術高専に入学する1年前の話で、従って伏黒恵も釘崎野薔薇も出てこない。禪院真希、狗巻棘、パンダがまだ1年生だ。
主人公は乙骨憂太。五条先生によって呪術高専の1年に転入させられる。いや、あるいは、確かに乙骨憂太をめぐる話ではあるけれど、主人公は五条悟であるという見方もできる。
憂太は6年前に事故で亡くなった幼馴染・祈本里香の呪いに囚われて、と言うか、憂太が窮地に陥ると必ず里香の呪いが暴走して憂太に危害を加える者たちを瀕死に至らしめる。その呪いがあまりに強烈かつ甚大なので、憂太は1年生にして「特級」なのだ。
オープニングのシーンは、雨の日の水たまりに映る電柱の影を電柱の上から映した絵である。すごい構図だ。僕がこのアニメに惹かれる理由はまずそういうところ、つまり画の力である。
緑の木々が風にそよぐ様子を描くのではなく、風にそよぐ樹木の黒い影が壁に映って揺れる様子を描いたり、格子窓のついた廊下を歩く憂太の顔に次々と映っては流れて行く格子の影を描いたり、表現は非常に多彩である。
手抜きをせずに髪の毛は常に揺れている。手前の灯籠をぼかして、奥の憂太をくっきりと描く。建物に入る五条と憂太の前にわざと柳の木を配置して葉を揺らせて見せる。
光、空気の流れ、そして構図。──どれを取っても特級だと思う。格闘シーンも然り。極端な引き画から一気に寄る。そして、速い! 単に短い秒数に多くのコマを送り込んでいるのではなく、速さを体感させる描き方なのだ。
MAPPA の作画能力、端倪すべからず。
ストーリーはそれほど入り組んではいない。基本ラインは憂太の成長物語。まずは様々な呪いを祓う。そして、今回は敵として夏油傑という特級呪術師が出てくるが、これが五条悟の呪術高専時代の同級生という設定だ。
面白い!
で、アニメファンにとっては、今か今かと待ちわびた七海建人と東堂葵の登場に、おう、ここにいたか!と胸がすく思いであった。狗巻棘も大活躍の上に内面まで描かれていて、狗巻推しの人たちも大満足ではないかな。
客席は満員、グッズ売り場も長蛇の列だった。早くテレビアニメの続編が見たい。
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