ミュージシャンから俳優
【7月15日 記】 北村匠海や浜野謙太を引き合いに出すまでもなく、元々はミュージシャンなのに俳優として活躍している人は大勢いる。しかも、それは最近のことではなく、結構大昔から大勢いる(まあ、北村匠海はミュージシャンの前は子役だったわけだが)。
たとえば、1967~1968年のグループサウンズのブームが去った後、ミュージシャンから俳優に転じた人は多かった。
沢田研二や萩原健一はミュージシャンのまま俳優もやり始めた人だが、岸部一徳などは完全に俳優に転じ、名優の名を恣にした存在である。
他にも、(この人は俳優に転じた後もう一度歌手に戻って大ヒットを飛ばしたが)寺尾聰がいるし、やや小粒だが鈴木ヒロミツや大口広司などもそうだ。
当時小中学生だった僕は、彼らに結構激しい怒りを覚えていた。「そんなに簡単に音楽を棄てて役者に転ずるなんて、お前らの音楽に対する情熱って、その程度のものだったのか!」という、まことに小中学生らしい正義感とでも言うべきものによる怒りだった。
残念ながら、小中学生だった僕には、彼らも何か仕事をして食い扶持を稼がなければならないのだという事実は全く見えていなかったのである。
で、それはまあ措いといて、非常に不思議だなと思うのは、それまで音楽一辺倒で芝居の勉強も研究もしたことがなく、演技の経験もなかったはずの人がどうしてこんなに巧くなって成功するんだろう?ということである。
さきほどはグループサウンズの例を挙げたが、フォーク系やらロック系やら、元アイドルまで含めると、元ミュージシャンの「名優」は枚挙に暇がない。
音楽であれ芝居であれ、表現者であるということについては、何か共通の才能みたいなものがあるのだろうか?
しかし、その一方で、「音楽→演劇」とは逆コースの、「演劇→音楽」という道を辿った、例えば「歌う映画スター」みたいな人たちは昭和の中期から今に至るまでたくさんいる。大ヒットも出している。でも、じゃあ歌が上手い!という人がいるかと言えば、それはちょっと見当たらない。
それに対して、ミュージシャンから俳優になって、この人は上手い!と言われるようになった人はたくさんいる。
そこのところが不思議なのである。
今日の話には推論も結論もない。ただ、不思議だということが書きたかっただけなので(笑)
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