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Saturday, July 31, 2021

映画『イン・ザ・ハイツ』

【7月31日 記】 映画『イン・ザ・ハイツ』を観てきた。テレビで本編の一部が紹介されているのを見た瞬間に、これは観るぞ!と心に決めた作品。

トニー賞4冠とグラミー賞の最優秀ミュージカルアルバム賞を受賞した、ブロードウェイの大ヒット・ミュージカルの映画化と言うだけのことはある。音楽もダンスも超絶にカッコいい。

ミュージカルというものは、どんなに歌や踊りが素晴らしくても、ストーリーがあまりに単純かつ陳腐でげっそりすることが多いのだが、これは誰かが何かを成し遂げたり運命を乗り越えて悲恋が実ったりするようなクサイ話ではなく、基本的に群像劇であり、そして人生讃歌になっているので気持ちよく観られる。

ビートがきついラテンのリズムにラップが乗っかっている音楽の構成が素晴らしい。ヒップホップのラップも悪くないが、僕は昔からラテンのラップが大好きだ。移民の物語の世界観ともうまくマッチしていた感がある。

メインの登場人物となる4人は当然として、アブエラ(おばあちゃん)役の女性まで圧倒的な声量と澄んだ声質をしているのに驚かされる。モブのコーラスもものすごく層が厚く、ハーモニーも絶品で、まさに Wall of Sound である。

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Thursday, July 29, 2021

マツキヨとマルイ

【7月29日 記】 突然思い出した昔の話:

選挙に立候補するときに、自分の氏名の漢字の一部や全部をかな書きにする人っているじゃないですか。

最初の転勤で初めて上京したとき、僕はマツモトキヨシってその類だと思ったんですよね。はい、昭和の末期ですから、あのころは関西ではまだマツモトキヨシなんて見たことも聞いたこともなかったですから。

薬局の店頭にマツモトキヨシと書いた幟が置いてあったりしたので、「ははあ、この人は薬局のおやじさんなのか。区会議員選挙か何かに立つのかな」なんて思ってたんです。

ところが、さすがに当時は今ほどの店舗数はなかったとは思いますが、それでもあっちの駅、こっちの街でマツモトキヨシのお店があるんですよね。

しかし、それでも僕は「大きな薬局チェーンのオーナーなのか」ぐらいに思っていて、それがドラッグストア自体の名前であると知ったのはもうちょっと後でした。

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Monday, July 26, 2021

『竜とそばかすの姫』についてのとあるレビューを読んで

【7月26日 追記】 映画『竜とそばかすの姫』について「危険すぎるメッセージと脚本の致命的な欠陥」と題したレビューが上がっている。twitter でも「いいね」がかなりついて相当拡散されている。

「竜とそばかすの姫」レビュー 危険すぎるメッセージと脚本の致命的な欠陥

これを読むと、書いてあることがどれもこれも全て正しいとまでは思わないにしても、確かにそういう面は否定できないと思う。と言うか、あの映画を観て僕がなんとなく釈然としなかった部分を、この分析がしっかりと埋めてくれているような気さえする。

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Saturday, July 24, 2021

映画『ゴジラ vs コング』

【7月24日 記】 映画『ゴジラ vs コング』を観てきた。

昔、ウルトラマン・シリーズの怪獣との戦いのシーンだけを切り出して、プロレスの実況風のアナウンスを載せた『ウルトラファイト』というミニ番組があった。編集モノだけではなく、新撮もあったらしい。

先日 twitter で、「観てないんですけど、『ゴジラ vs コング』って昔の『ウルトラファイト』みたいなもんですか?」と呟いたら、ある人から「小栗旬がただただ白目を剥く映画です」との回答があり、実際に観てみてその意味が解った。なんでわざわざそこを取り上げたくなったのかも解った(笑)

いやまあ、何と言うか、ハリウッドだから、そりゃあもう湯水のようにお金を使ってすごい映像を作っているわけだ。迫力満点の破壊と戦いのシーンだけではなく、しょっちゅう映し出されるコングの表情のアップなどもよくできている。

しかし、この設定は何だろう? 子供騙しと言うか、いや、ひょっとしたら子供でさえ釈然としない荒唐無稽ではないか? ウルトラQ やウルトラマンのほうが遥かに科学的だった気がする。

地球の内奥に巨大な空洞があるとか、そういう奇想天外な設定があっても別に構わないのだが、米軍が総動員されているのにひとりの女性科学者の判断と指示で動いてしまう場面があったり、機密の場所にあまりに簡単に入れたり貨物に紛れ込めたりする辺りも、さすがにちょっとなあという感じ。

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Friday, July 23, 2021

『カラフル』森絵都(書評)

【7月23日 記】 去年『風に舞いあがるビニールシート』で初めて森絵都を読んで、深い感銘を受け、その巧さに驚いた。これは是非にも他の作品もと思って『みかづき』を読み、それに続いて本書を選んだのだが、しかし、もう少し調べてから選ぶべきだった。

直木三十五賞を受賞した『風に舞いあがるビニールシート』と違って、その9年前に出版された本書は、まぎれもなく児童文学であり、森絵都も 100%児童文学者と捉えられていた時代の作品だったからだ。

僕は最初に読んだのが『風に舞いあがるビニールシート』でつくづく良かったと思う。先に児童文学を読んでいたら、二度とこの作家の本を手に取らなかったかもしれない。

本書は優れた児童文学なのだろうと思う。それは決して否定しないが、大人が読むには少し設定がチャチで、少し文章が幼くて、話の進み行きが軽い。そうとまで感じない大人の読者もいるのかもしれないが、少なくとも僕の好きな文体、僕が好む作品ではない。

そして、何よりも残念だったのは、Kindle の画面に「33%」という表示が出ていたので、ちょうど3分の1を読んだ当たりだと思うのだが、その時点で僕は電撃的にこのストーリーの結末を読み切ってしまったということである。

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Thursday, July 22, 2021

映画『リスタート』

【7月22日 記】 映画『リスタート』を観てきた。品川ヒロシの長編映画監督デビュー作『ドロップ』を観たときに、「あ、こいつは結構才能あるかも」と思った。興行成績も悪くなかったはずだが、しかし、その後思ったほどの華々しい活躍がない。

これはやっぱり、品川が、相方の庄司智春のような皆に愛されるキャラではなく、ちょっとウザい系の奴だと思われているからなのかな、などと勝手な想像を僕はしていた。結局それ以降の作品は見逃しており、これが僕にとって 10年ぶりの品川作品となった。

やっぱり巧いなと思うのは、良い画があちこちにあるということ。最初のシーンの、卒業式を前にした高校生たちが木立の陰で雑談しているシーン。そこから広場みたいなところで主人公の未央(EMILY)が歌う引き画からのタイトル・ロール。とても美しい。

品川自身による脚本も良い。もらいゲロの話からもらいゲロのシーンへと繋ぐ辺りは漫才的な上手い構成だが、そういうことだけではなく、良い台詞がたくさんある。

恥ずかしいぐらいストレートに未央を鼓舞する大輝(SWAY)もいれば、何度も口ごもりながら一生懸命語る血の繋がらない父(中野英雄)もいる。キャラはよく描けている。

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Wednesday, July 21, 2021

ゆうパックの謎

【7月21日 記】 このブログにも書いたが、何年か前、宅配ボックスに入れずに荷物を持ち帰った配達人を雪隠詰めにしたことがある。Box2687558_640

彼が再配達に来た折に、「なんであなたは宅配ボックスに入れなかったのか?」と訊いてみた。すると彼は「郵便受けに名前がなかったので間違っていたら大変だと思って入れなかった」と言う。上等じゃないか。

「それじゃあ、あなたが不在配達表を入れた郵便受けが間違っていたらどうしようとは思わなかったのか? 荷物は『間違って入れたら大変だ』と思うのに、不在連絡票は間違った家に入れても平気なのか? こんな紙切れ1枚、間違って入ってても捨てられるかもしれないとは思わないのか?」と反撃したら、彼は絶句してしまった。

僕は宅配業者とは何度となく揉めているが、僕の経験では宅配ボックスに入れてくれないのは圧倒的にゆうパックが多いと思っている。

そんなことを思い出して twitter でつらつら呟いていたら、リツイートされたりリプがあったりで、タイムライン上にも結構ゆうパックに対して同じ不満を抱いている人が多いことが分かった。

で、驚いたのは、ゆうパックは持ち帰ることが多いというのは単なる僕の印象だと思っていたのだが、そうではなくてそれが郵便局のポリシーらしいということだ。なんじゃ、それは!!!!!

そして、配達郵便局に「指定場所配達に関する依頼書」を提出すれば、ちゃんと宅配ボックスに入れてくれるということも、あるフォロワーさんから教わった。

そんなものがあったとは!──僕は速攻で依頼書を書いて投函した。

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Tuesday, July 20, 2021

映画『竜とそばかすの姫』の愛犬

【7月20日 追記】 映画『竜とそばかすの姫』について思い出したこと。

観たときには「おや?」と思ったのにそのまま忘れていた。ある人がそのことに触れていたので思い出した。

すずの愛犬の右(だったかな?)の前足はどうしたんだろう? 事故にでも遭ったのだろうか? その後のシーンでは何も触れられていない。

こういうのを「伏線が放置されたまま回収されていない」と言って猛烈に嫌がる人もいる。僕自身は、まあ、そんなになんでもかんでも解決して行く必要もないだろうと思うが…。

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Sunday, July 18, 2021

映画『竜とそばかすの姫』

【7月18日 記】 映画『竜とそばかすの姫』を観てきた。

細田守監督作品は、遡って『時をかける少女』も観たが、初めて観たのは『サマーウォーズ』で、あれには驚いたし、魅了された。

でも、その後3本の長編アニメを観て、どれも良かったけれど、結局どれも『サマーウォーズ』を超えられていない気がしている。それがちょっと腰を引かせる理由にもなっている。

その上、今作は『美女と野獣』がモチーフになっていると聞いて、そう言われると絵柄まで似ているではないか!と思うと、だんだん観る気が失せてきた。

とは言いながら今回も一応は観に行ったわけだ。観てみると、さすがにこのチームは作画能力が高い。

冒頭で電脳空間 "U" と、そこでのアバターである "AS" の説明があるのだが、その背景となっている画が、これは明らかに『サマーウォーズ』を超えてすごい。圧倒的な情報量である。単なるデザインとしても美しい。

そして、現実空間においても、透明な瓶に挿した花の茎が水の中で屈折していたり、徒歩やバスや電車で移動すると光の移ろいに伴って顔が陰になったり日向になったりするところなど、ほんとうに肌理細やかである。

人物は平面アニメ特有の描き方で、動きも現実の人間と比べるとやや大げさでぎこちないが、木や草や水の流れや川面に映る像など、風景の作画能力がめちゃくちゃ高い。

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Saturday, July 17, 2021

『Amazon Web Services 基礎からのネットワーク&サーバー構築』大澤文孝、玉川憲 、片山暁雄、今井雄太(書評)

【7月16日 記】 難しくて読んでも解らないかもしれないな、と思って読み始めたが、意外によく解った。

とは言え、それはあくまで僕の場合の話であり、誰が読んでもよく解る本ではないだろうとは思う。単なるユーザとしての経験は何年もあるが、コンピュータやネットワークのことをほとんど勉強したこともないという人だと、読み始めても途中で放り出すかもしれない。

僕が人生最初の PC を買ったのが 1994年。信じられないかもしれないが、当時の PC には何百ページにも及ぶマニュアルがついていた。マニュアルと言うよりもむしろ技術解説書である。僕はまずその本を読破した。そういう人間である。

もちろん、PC を使い始めたばかりのころに「仮想メモリ」などと言われても、何のことだかさっぱり解らない。だから、だいぶ PC に慣れてきた頃に、もう一度最初から最後まで読破した。僕はそういう人間である。

ネットワークに関しても、長いユーザ歴の中で何度か集中的に、独学/座学で勉強したこともある。

そういうこともあって、この本は割合よく解った。と言うか、この本を読みながら、「あ、そうか、そうだったな」とか「ああ、そういうの確かに勉強したな」などと、昔学んだ記憶が次々に甦ってきた。

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Thursday, July 15, 2021

ミュージシャンから俳優

【7月15日 記】 北村匠海や浜野謙太を引き合いに出すまでもなく、元々はミュージシャンなのに俳優として活躍している人は大勢いる。しかも、それは最近のことではなく、結構大昔から大勢いる(まあ、北村匠海はミュージシャンの前は子役だったわけだが)。

たとえば、1967~1968年のグループサウンズのブームが去った後、ミュージシャンから俳優に転じた人は多かった。

沢田研二や萩原健一はミュージシャンのまま俳優もやり始めた人だが、岸部一徳などは完全に俳優に転じ、名優の名を恣にした存在である。

他にも、(この人は俳優に転じた後もう一度歌手に戻って大ヒットを飛ばしたが)寺尾聰がいるし、やや小粒だが鈴木ヒロミツや大口広司などもそうだ。

当時小中学生だった僕は、彼らに結構激しい怒りを覚えていた。「そんなに簡単に音楽を棄てて役者に転ずるなんて、お前らの音楽に対する情熱って、その程度のものだったのか!」という、まことに小中学生らしい正義感とでも言うべきものによる怒りだった。

残念ながら、小中学生だった僕には、彼らも何か仕事をして食い扶持を稼がなければならないのだという事実は全く見えていなかったのである。

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Wednesday, July 14, 2021

からだリポート

【7月14日 記】 念願のワクチンを接種した。今日が1回目。

他の区ではどんどん予約票が送られて来てみんな接種を始めていると言うのに、ウチの区はいつまでたっても送って来ず、そのうちに最初はスカスカだった大規模接種会場が2回目の人たちで埋まって予約が取れなくなり、2度トライしたが10分以内になくなった。

で、そうこうするうちに、幸いにして職域接種が始まり、そちらも希望するモデルナだったので、そちらに入れてもらうことにした。

ちなみに、同じくモデルナ希望の妻も大規模接種会場は3連敗か4連敗したのだが、当初ファイザーのみだった区の接種でもモデルナが始まり、こちらもめでたく予約が取れた。

早く夫婦揃って2回目を終えたいものだ。

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Sunday, July 11, 2021

映画『東京リベンジャーズ』

【7月11日 記】 映画『東京リベンジャーズ』を観てきた。これだけ活きが良い若手俳優が結集しているのだし、予告編も面白そうだったのだが、実は、大変失礼な話だが、英勉監督だからあまり期待していなかった(笑)

いや、別に英監督が二流の監督だと言うつもりはない。ただ、この人は他愛ない B級娯楽作品を撮る監督なのだ。あまり感動とかいうことには縁がない。

そういう意味ではびっくりした。これはかなり胸のすく作品となっている。間違いなく英勉の代表作になるだろう。英監督がこういう不良の抗争ものを撮るとは!という驚きもあった。

原作は『少年マガジン』に連載していた漫画だそうで、僕は読んだことがない。

タケミチ(北村匠海)は粋がっていたヤンキー高校生時代に、不良グループ「東京卍會」に所属する高校生キヨマサ(鈴木伸之)らに喧嘩でこてんぱんにやられ、以来彼らの奴隷のような生活を送るようになり、すっかり負け犬根性が身に染みてしまって、10年にわたって冴えない毎日を送ってきた。

当時つきあっていたヒナ(今田美桜)も、今や半グレの一大組織となった東京卍會の抗争に巻き込まれて死んでしまう。

そして、同じその日に、タケミチはプラットフォームで誰かに突き飛ばされて線路に落ち、電車に轢かれて死んでしまった──と自分で思ったのだが、実はその瞬間に10年前にタイムリープしていた。

そして、またしてもキヨマサにボコボコにされる。でも、そういう2度めの経験を通じて、タケミチの心に次第に「ここで屈しては10年後も負け犬のままだ。ここでは引けない」という思いが強まってくる。

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Saturday, July 10, 2021

映画『唐人街探偵 東京MISSION』

【7月10日 記】 映画『唐人街探偵 東京MISSION』を観てきた。予告編が面白そうだったので、何も知らずに観に行ったのだが、中国映画の大ヒットシリーズの第3作だそうで、妻夫木聡は前作から出演しているとのこと。日本での公開は今回が初めてだ。

しかし、ネット予約して劇場で発券して初めて気づいたのだが、なんと吹替版だった。と言うか、この映画に吹替版があるなどとは夢にも思っていなくて、映画館に着いてみたら吹替版で驚いたというわけだ。どうせなら字幕版で観たいところだが、後の祭りだ。

とは言うものの、映画は中国人とタイ人と日本人がそれぞれの耳にワイヤレスイヤフォン型の小型通訳機を嵌めて、それぞれ自国の言葉で喋るという変な劇になっており、逆に吹替だから違和感がないが、原語で聞くと多分妙な感じがしたと思う。

そして、妻夫木はところどころ中国語で喋っているのだが、その部分の日本語吹替がどうも妻夫木本人ではなかったみたいで、聞いていて微妙に気持ち悪かった。また、吹替のトーンが全体的に大はしゃぎで、これまた日本の喜劇の感覚からはちょっと外れていたかなとも思う。

そう、これは、典型的な(多分)唐人のスラップスティック・コメディである。1作ごとに舞台を変えて今回は東京ということなのだが、そこには思いっきりよく間違えた東京のイメージが大々的に展開される。果たして分かって遊んでいるのか、実は取り違えているのか定かでないが(笑)

ただ、思ったのは欧米人が抱く間違った日本のイメージも唐人が持つ歪んだ日本のイメージも、存外似たようなもんだな(笑)ということだった。

まずは妻夫木の、派手というのを超えて目がくらみそうなジャケットを見よ(笑) 東京は東京なのだが部分的にウソだらけ(と言うか、どこまでが実景なのか、見ていたら区別がつかなくなるw)の風景もまた楽しい。

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Friday, July 09, 2021

『鳩の撃退法』佐藤正午(書評)

【7月9日 記】 (上下巻通じての書評です)佐藤正午という作家は割合トリッキーなところのある作家だとは思っていたが、今作は出だしから思いっきりトリッキーで、ちょっと驚いた。

冒頭、幸地秀吉という男が出てくる。幼い娘・茜が彼のことをヒデヨシと呼んでいるという記述から始まって、風邪で体調を崩した妻に代わって彼が茜を幼稚園に送って行き、同じ園児の母親である慎改美弥子に会う。

そこで1行空けて、その後も秀吉の1日についての記述が続く。

バーを経営している秀吉は長いつきあいの友人・倉田から「おまえの店で預かってほしいものがある」と頼まれる。その後いろいろあった後、妻から妊娠したと告げられた秀吉は「おなかの子の父親は僕じゃない」と断言する。

章が変わって、時間が少し戻り同じ日の明け方の記述になる。秀吉は店を閉めた後、いつも通り夜食を取るために、その日はドーナツショップに行った。そこの喫煙席でたまたま同席した小説家との会話のシーンが描かれる。小説家はピーターパンの古本を持っている。

──と、ここまでのボリュームを読まされると、誰もがこの小説の主人公は幸地秀吉だと思い込むはずだ。ところが、第2章の終わり際に突如として、幸地秀吉と相席していた男が僕であると作者は明かす。

おまけに幸地秀吉一家は3人揃って蒸発してしまうのである。そうなると、もはや幸地秀吉が主人公であり続けるはずがない。

つまり、ずけずけとものを言うこの小説家こそが主人公であり、かつ、物語の語り手・津田伸一なのであった。

小説の主人公や語り手は、小説家が自分を投影していることが多い。従って、あんまりひどい男であることはない。もちろん、悪人が主人公の小説もたくさんあるが、そういう場合は大体主人公は三人称で客観的に語られる。

しかし、この小説では、なんともひねくれ者で、他の人が気にも留めないことにいちいち引っかかって、なんだかんだと鬱陶しいことを言う主人公が一人称で語るのである。

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Tuesday, July 06, 2021

TOHOシネマズもうで集約

【7月6日 記】 TOHOシネマズ○○という名のシネコンが日本のあちこちにある。僕はそのうち何館に何回通ったのだろう?とふと気になって数えてみた。

すると、東京、大阪、兵庫3都府県で合計 13館、映画の本数で言うと 294本を観ていた。Tohoos

○○東宝みたいな名前だった映画館が順番に衣替えしてTOHOシネマズに変わって行ったのは何年何月からだったか定かでないが、僕のデータベースでは、場所が同じでも名前が変わったら違う映画館というカウントをしているので、両者がごっちゃになる恐れはない。

僕はその TOHOシネマズ開始直後からシネマイレージの会員になっているので、「6本観たら1本無料」という特典はフルに享受しているはずだ。

ということは、7本に1本の割合で無料になっているはずだから、TOHOシネマズで観た映画 294本÷7本=42回 にわたって無料で映画を観たはずである。

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Sunday, July 04, 2021

映画『アジアの天使』

【7月4日 記】 映画『アジアの天使』を観てきた。石井裕也監督のロード・ムービーである。

ただし、一般的なロードムービーであれば、何かの事件をきっかけに、主人公が生まれた街や住んでいた家を離れて旅に出るところから始まるが、この映画はいきなり韓国である。言葉は全く分からない。字も読めない。西も東も分からない。

事実、冒頭のシーンでは空港からソウル市内の兄の事務所兼住居に向かうタクシーで、行き止まりに入ってしまった運転手から降りて歩くように言われるが、言われたほうは何を言われているのかさっぱり分かっていない。

売れない作家の青木剛(池松壮亮)は、「いい仕事がある」と言う兄・透(オダギリジョー)の言葉を信じて、日本の家を処分して8歳の息子・学(佐藤凌)を連れて韓国に渡る(妻は何年か前に胃癌で亡くなっている)。

ところが、そもそも兄はなんだか怪しげな商売をしており、学のために日本語学校入学の手続きをしたというのも真っ赤なウソで、しかも剛が着いた何日か後には相棒(パク・ジョンボム)に一切合財を持ち逃げされ、無一文になってしまう。

それと並行して、ソウルに住む3人きょうだいジョンウ(キム・ミンジェ)、ソル(チェ・ヒソ)、ポム(キム・イェウン)の話も描かれる。

長兄のジョンウは心優しい真面目な男だが、友だちもいないし一家を養う甲斐性もない。末妹のポムは喘息持ちで、姉に言われて公務員を目指しているが、もう何度も試験に落ちている。

そんな2人を支えているのが長女のソルで、かつては少しは売れたアイドル歌手だったが、今ではショッピングセンターのイベント会場でしか歌わせてもらえず、事務所の社長と肉体関係を結ぶことによって、なんとかかんとか歌手生命を永らえてきた。

そして、打つ手がなくなり、「ワカメの商売」を求めて北東部の街・江陵を目指す日本人3人と、胃癌で亡くなった母の墓参りに墨湖を目指す3人が同じ電車に乗り合わせ、ひょんなことから合流することになる。

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Saturday, July 03, 2021

映画『いとみち』

【7月3日 記】 映画『いとみち』を観てきた。

予告編を見る限り、それほど面白そうではなかったのだけれど、横浜聡子監督だから観ておこうと思った。で、観てみると、これはとても良い映画だった。

主演の駒井蓮については事前の知識がなかったのだが、黒川芽以と横田真悠という、好きな女優が2人出ていて嬉しくなった。

しかし、見始めてすぐに困ったなと思ったのは、劇中の津軽弁が聞き取れない、と言うか、意味が分からないこと。先日たまたま何かで「け」は「食え」だと読んでいたのが役に立ったが、ひとつの台詞まるごと何を言っているのか分からなかったりもする。

見進めるほどに次第に慣れては来たけれど、やっぱり分からない台詞は分からない。まあ、でも、なんとなく意味は想像がつくようになってきた。

これだけの津軽弁を喋れるということは、多くの役者は青森出身なのだなと思ったら、いと役の駒井蓮をはじめ、祖母・ハツヱ役の西川洋子はもちろん古坂大魔王まで青森出身で、主人公いとの同級生を演じたジョナゴールドは青森を拠点とするダンス&ボーカル・グループ“りんご娘”のメンバーだとか。

おまけに監督の横浜聡子も青森出身だった。そう言えば『ウルトラミラクルラブストーリー』は青森ロケだったか。

青森出身でない役者については、東京出身だが青森の女性と結婚して青森に移り住んできた民俗学者で大学教授・相馬に豊川悦司、東京帰りのメイド喫茶店長に中島歩、テレビで標準語を勉強して東京に出て漫画家になろうとしてる智美に横田真悠、という配役になっていた。

さて、この映画はメイド喫茶の映画であると同時に(笑)、津軽三味線の映画でもある。劇中で三味線を弾く西川洋子はどこからどう見てもプロである。駒井蓮はちょっとたどたどしい部分があるのでプロではないだろうがよく練習したという感じか。

──そう思って観ていたのだが、果たしてそのとおりだった。そう考えると西川洋子の演技部分は素晴らしいし、駒井蓮も1年間練習したというだけのことがあって、あれだけの長いフレーズを弾ききったのは大したものである。

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