コーヒーミル買い換え記
【3月31日 記】 長年使っていたコーヒーミルが壊れて買い換えてまだ日が浅いのだが、先週末、さらに別のやつに買い換えた。
結局前のやつはダメだった。いつも豆を買っているヤマモトコーヒー店で買ったのだが、最初からあの親切な店主に相談すべきだったのだ。
あのおじさんは単なるコーヒー豆屋の店主ではなく、多分コーヒーが好きで好きで、好きだからこそ膨大な知見やノウハウを持ち合わせており、好きだからこそ誰にでもそれを伝授したくてウズウズしている、というタイプの御仁だと思う。
それだから必然的にひとりの客に対して説明が長く、丁寧になり、その結果必然的に他の客は話しかけられないタイミングが多くなる。
あの日もそんな感じで他の客の相手をしていたので、僕は女性の店員(店主の奥さんなのかな?)にちょこちょこっと質問して、セラミック刃のコンパクトなコーヒーミルを買ったのだ。
ところがこれを使ってみると、豆を挽いている最中に何度もつっかかって回らなくなる。おまけに前は2人で2杯ずつ4杯分の豆を、取っ手を大体 100回まわしたら挽き終えたのに、このコーヒーミルは 270回もまわす必要があり、おまけに力も相当必要で、途中で何度か休まないと挽けなかった。
そのうえ挽いた豆は、ものすごく細かい粉状のものから刃と穴の隙間につまる大きめの欠片まで、ものすごく挽きムラがあり、細かさの調整ネジもこちらの期待通りにはならない。
それで、2ヶ月ぐらい経ってから、豆を買いに行った時に例の店主に相談してみたのだ。
すると店主は、「僕はセラミック刃は決してお薦めしません」と言う。お薦めしないのなら売るなよ!とも思ったのだが、あれはキャンプなどに行ってコーヒーを飲みたい人が、軽くて持ち運びに便利だから買う代物なのだそうだ。
僕はそんなことは知らずに、セラミックだから切れ味がどうとかいう宣伝文句に釣られて、狭い戸棚にも楽々入りそうな大きさにも惹かれて買ってしまった。
店主曰く、値段的に自分が買える範囲でできるだけ大きくて重いのを買うのが良いのだそうだ。コーヒーミルなんて何度も買い換えるものではないので、ケチらないほうが良い。安いのから安いのに買い換えると同じ失敗をすることになると言う。
つまり、僕が前回買ったのは何千円の品物なのだが、今度は1万円以上のものを買えという。
構造についてもいろいろ教えてもらった。
コーヒーミルが大きいと回転する刃も大きくなる、そうするといっぺんにたくさんの豆が楽に挽けて早く挽き終わる。
そして、セラミックなのか金属なのか、刃だけに溝が切ってあるのか刃を収める穴の内壁にも溝が切ってあるのか、回転する刃と穴の隙間の大きさを安定させるためにどういう仕組みになっているのか、等々のことによって、挽くために必要な力の大きさや挽いた粒の大きさのムラなどが大きく違ってくるのだそうだ。
今回は僕と妻が店主の時間をかなり専有していろいろ教えてもらい、そして前のやつよりもどっしりとして、値段は倍ぐらいのコーヒーミルを買い改めた。
帰宅して使ってみると、なるほどあまり力をかけずに楽に挽けるし、前は 270周していたのが 32周で挽き終わり、挽いた粒の大きさも均等で美しい。心なしか味までおいしくなった気がする。
初めからあの店主に相談しておくべきであったのだ。
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