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Thursday, March 04, 2021

BSフジ『HIT SONG MAKERS 消えゆく昭和の音楽の星たち』

【3月4日 記】 録画してあった『HIT SONG MAKERS 消えゆく昭和の音楽の星たち』(2/21 BSフジ)を漸く観た。去年亡くなったさまざまな歌謡曲~J-POP 関係者、とりわけその中でも筒美京平となかにし礼という2人の巨星にスポットライトを当てた特別番組だ。

BSフジが誇る音楽番組の名作『HIT SONG MAKERS』での取材をメインに再構成したものであることがタイトルから伺える。

ちなみに僕はこの番組が出した5枚組のDVDを持っている。そして、このブログにも何度も書いてきたが、僕は筒美京平という作曲家を崇拝している。

『筒美京平 Hitstory Ultimate Collection 1967~1997 2013Edition』も、リッピングではあるが全曲持っている。『筒美京平作品 楽譜集 Kyohei Tsutsumi Songbook Ultimate Collection 1966~2008 100songs』も買った。

そして、去年相次いで亡くなったこの2人については、筒美京平関連で4本なかにし礼関連で1本の記事を上げている。

この番組のことを僕に教えてくれたのは、いろんな番組のプロデューサーを務めてきた会社の先輩である。彼はこの番組のプロデューサーである波多野健氏ともいろいろと接点があり、波多野氏本人からこの番組のことを聞き、きっと僕が気に入るだろうと思って僕に連絡してくれたというわけだ。

見始めてすぐに、えっ!と声を上げそうになったのは、野宮真貴がナレーターを務めていたことだ(他に男性のナレーターもいたが)。

Pizzicato Five が筒美作品を歌ってたっけ?と必死で考えてもにわかに思い出せなかったのだが、番組内に出て来たように1曲あった。『恋のルール・新しいルール』だ。もちろんこの曲の音源も僕は持っている。

そこを繋げて野宮真貴をナレーターに起用したこのセンスには心から感服した。

番組は2歳違いで同時代に活躍した作曲家と作詞家である筒美京平となかにし礼を交互に扱う。

この2人が直接会話をしているシーンがあるわけではなく、2人に対する古いインタビューの構成ものだろうから、結構バラバラな感じの番組になるのではないかと思っていたのだが、うまく組合せてあって全く違和感がない。

そして、実際の音楽に関しては、フッテージとレコード音源で綴っていくものだと思っていたら、スタジオライブで5曲演奏されていて(ダビングしないライブ録音という意味であり、もちろん生放送という意味ではない)、これも良かった。

  1. 渚のうわさ(橋本淳/筒美京平 弘田三枝子、1967年)
  2. 天使の誘惑(なかにし礼/鈴木邦彦 黛ジュン、1968年)
  3. 時には娼婦のように(なかにし礼/なかにし礼 黒沢年男、1978年)
  4. 木綿のハンカチーフ(松本隆/筒美京平 太田裕美、1975年)
  5. AMBITIOUS JAPAN(なかにし礼/筒美京平 TOKIO、2005年)

3)と5)を歌ったのが K という男性歌手で、僕はこちらのほうはあまり感心しなかったのだが、1)2)4)を歌った田村芽実という女性歌手が悪くない。不思議に悪くない。

調べてみると、ハロプロの元アイドルグループのメンバーで、まだ22歳。名前は「たむらめいみ」と読むようだ。過去にカバー・アルバムも発表している。

ところで、驚いたのは真ん中辺りの CM 明けで、いきなり岸部四郎(岸部シロー)の話になったこと。何の脈略もない。

僕はブレッド&バターと岸部シローのトリオは大好きだったし、彼らの美しいハーモニーによるビージーズの『若葉のころ』を聴けたのはめちゃくちゃ嬉しかったが、なんじゃこりゃ、尺合わせの埋め草か?と言いたくなるほどの唐突感があったのも確か(笑)

その後見ていたら守屋浩を扱ったコーナーもあって、そう言えば渡哲也についても触れていて、あ、そうか、この番組は一応去年亡くなった音楽関係者という括りになっていたんだ、と思い出して少し納得したけど(笑)

でも、ま、結局のところ、全編を見終わると、2人の未発表曲についての取材もあり、なかにし/筒美コンビの大ヒット曲である『あなたならどうする』を最初のほうに持ってきて、『AMBITIOUS JAPAN』で締めるという構成も良くて、結構満足した。いや、満喫したと言うべきか。

素敵な番組をありがとうございましたと言いたい。

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