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Wednesday, February 10, 2021

待つしかない

【2月10日 記】  こんな言い方をすると怒られるかもしれないが、ああ、この人たちが死ぬのを待つしかないんだな、と思うことがある。

例えば、森 喜 朗 という人は、これだけ騒ぎが大きくなるとさすがに辞めることになるのだろうと思うが、おそらくご本人は何も悪かったと思っていないだろう。思っているとしたら「運が悪かった」ぐらいなのではないだろうか。Pixnio6094441000x750

「そもそもあなたのその感覚が問題なのだ」などと咎めても、それを取り合う/取り合わない以前の問題として、多分何を言っているのかさえ彼には理解できないのではないかと思う。

同じような思いを自分の親に対して持ったことがある。

中国や韓国/朝鮮の人たちのことを母と話していたときのことだ。僕の述べる理屈に彼女は反論はできなかったが、彼女の心の底にこびりついた差別意識は僕にはどうやっても剥がせなかった。

母は割合公明正大な人だと思う。でも、心の深いところで「中国人や朝鮮人は日本人より劣った民族である」という思いがとぐろを巻いており、「くろんぼ」は白人よりレベルが低いのだと思い込んでいるフシがあった。

そのとき僕は高校生ぐらいだったのかな。得意の理屈を展開してとりあえず母を黙らせることはできても、母のそういう意識を根本から変えることはどうやってもできなくて、ああ、この人たちが死ぬのを待つしかないんだな、と思ったのをよく憶えている。

人間は年を経るごとに凝り固まって行く。当時の環境と教育、積み重ねてきた経験や思いがそれを支えているだけに、容易に覆せないのである。畢竟彼らが死ぬのを待つしかなくなるのである。

古い世代が死ぬたびに世の中は良くなる。世界はそういう風に進歩するのだと思う。僕が死んで、僕の世代の人たちが死んで、僕の後の世代の環境が良くなる。世界はそういう風に進歩するのだ。

だからと言って、僕自身が死にたいのではないように、特定の誰かの死を願っているわけではない。ただ、世界はそういう風にしか進歩し得ないのだと思うときがある。

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Comments

同意

Posted by: 山 | Monday, February 15, 2021 17:58

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