模様替えとパートナーシップ
【1月1日 記】 年末に、妻の提案で部屋の模様替えをしました。夫婦2人で勉強(作業)部屋として使っている小さなスペースです。
大げさに思われるかもしれませんが、今回の経験を通じて私は自分の発想の限界を痛感しました。私一人だとまずこういうレイアウト案は出てきません。
今回の模様替えで図1のような配置を図2のような形に変えました。
2つの青い四角形はデスクです。他にもごちゃごちゃといろんな家具が詰め込んであるのですが、この図ではすべて省略しています。
左上の出っ張りは柱です。左側にあるのは腰窓です。ひとつのデスクはこの窓に向けて置き、もうひとつのデスクはそれと直交する位置関係に、壁に接する形で置いていました。
最初にこの家に入ったとき、私はなんとかこの狭いスペースにデスクを2つ入れて、かつ左上の柱の出っ張りを機能的に活かして、作業効率が上がる配置にしようと一生懸命考えました。それが図1の配置でした。
ところが、今回妻が「机を横一文字に2つ並べてみたら?」と言い出しました(実は、それとは別にもう一案あったのですが、結果的にボツになったので、ここには書きません)。
そういう発想は自分には湧いて来ないな、とつくづく感心しました。
まず、私はオーソドックスなものを嫌って常にひとひねりしたものを作ろうとします。だから、「机が2つあるからそれを並べよう」という発想にはたどり着かない、と言うか、最初にそういう発想をすっ飛ばしてスタートするのです。
一方で、オーソドックスを嫌うくせに、妙なところで固定観念から抜けられないのです。
それは何かと言うと、図の下の部分に2枚重ねのスライド式のドアがあります。これを全開すると隣の部屋との境目が幅1間ほどオープンになり、全部閉めると2つの部屋として独立した構造になるのですが、デスクを2つ並べるとこのドアの途中までデスクがせり出してくるのです。
そうするとドアを全開したときにデスクの半分以上が見えてしまいます。もうその時点でその案は却下なのです。元からある引き戸つき出入り口の機能を半分台無しにしてしまっているからです。それが耐えられないから、そういう発想は出てこないのです。
でも、図3を見てください。隣の部屋の家具を書き足したもので、黄色いのはソファです。実はソファがずっとその位置にあるので、このスライドドアを全開しても出入り口は決して広くはならず、この機能は活かされていなかったのです。
それを見越して妻は机を2つ並べてみようと言い出したのでした。
何度も書きますが、大げさに思われるかもしれません。でも、私は妻が自分にはない発想を与えてくれる何物にも代えがたい存在だと、今までも思ってきましたし、今回もつくづくそう思いました。
ソファで半分ふさがっていようがいまいが、引き戸が開けられるようになっている限りはそこを開けておこうとするのが私の発想です。言わば、大きなところで規制を受け入れて、その上で小さなところで如何にトリッキーに収め、あるいは展開して行くかが自分の仕事だというような感じです。
その点、妻はもっと自由です。聞けば妻も若い頃から「変わってるね」と言われていたらしいですが、彼女が一番変わっているのは外的な規制に全く囚われないところです。引き戸があるかないかなんて関係ありません。自分がどう使うかの問題なのです。
何度も書きますが、だから、このレイアウトは私一人では決して出てこなかった案なのです。妻がいたからこそ実現したレイアウトなんです。そして、使ってみると前よりも遥かに、驚くほど快適です。
結婚って、多分本来そうあるべきなんだと改めて思った、良い年末になりました。
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