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Tuesday, November 17, 2020

CX『世にも奇妙な物語 ‘20秋の特別編』

【11月17日 記】 録画しておいた CX『世にも奇妙な物語 '20秋の特別編』を観た。このところやや停滞感のあったこのシリーズだが、今回はべらぼうに面白かった。

特に2本目の大竹しのぶの「タテモトマサコ」。

大竹が扮する館本雅子は言霊が異常に強くて、彼女が口に出したことは全て実際に起きてしまう。だから彼女は普段からほとんど喋らないのだが、自分が不利な立場になると相手に呪いをかけるようにして自分のやった悪行を忘れさせたり、引いては自殺させてしまったりする。

物語は、雅子に婚約者を殺された志倉楓(成海璃子)と雅子の対決を軸に展開するのだが、とにかく大竹しのぶが怖いのなんの。相手と視線を合わせず、あらぬ方を見つめて、猛烈に早口でまくし立てたり、丸暗記みたいに抑揚のない喋り方をするかと思うと、天を向いて高らかに笑ったり。どこからどう見てもこれは異常者である。

改めて大竹しのぶの怪優ぶりを見せつけられた。

で、最後のどんでん返しがまた圧巻で、これは全く予想がつかなかった。見事な企画だった。

原案は荒木哉仁、脚本は山岡潤平。これは是非とも膨らませて大竹しのぶ主演の映画にしてほしい。めちゃくちゃ面白かった。

他の3話のうち2つも却々面白くて、濱田岳主演の「コインランドリー」はコインランドリーに願いごとを叶えてくれる乾燥機があるという話。

派遣切りで失業した橋本(濱田)は、行きつけのコインランドリーでその乾燥機の秘密を知り、調子に乗ってどんどんお願いをし始める。何でもお願いすると乾燥機の中から出てくるのだ。ただし、出てきたものは24時間経つと消えてしまう。

24時間で消えたって何の問題もない。お金であれば24時間以内に使えば良いだけのことだし、可愛い女の子であれば2人で24時間楽しめば良いだけのことだ。

ところがこの物語にも見事などんでん返しが用意されていて、これも結構面白かった。

そして、もう一つは広瀬すずの「イマジナリーフレンド」。

幼少期に実際にはいないイマジナリーフレンドが見えるというのは時々あることらしいのだが、サキ(広瀬)は大学生になった今突然それが見え始めた。それは小さい時に大切にしていたピンク色のうさぎのぬいぐるみだった。

そのうさぎは何かとサキの味方になって助けてくれるのだが、中には攻撃的になる厄介なイマジナリーフレンドもあると聞いていた通り、突然彼女に暴力を振るい始める。

こちらはどんでん返しというよりも、ハッピー・エンディングである。前二者が因果応報めいた話であるのに対して、こちらはとても後味の良いファミリー・ストーリーになっていた。

もう1本は高橋克実の「アップデート家族」。これは失敗作(笑)。

もし家族がアップデートできたならというジャスト・ワン・アイデアでドラマを作ってしまった典型的な失敗パタン。確かに奥さんをアップデートすると機能別に5人の女性になってしまったなどというアイデアは面白かったが、設定の面白さだけで物語は引っ張って行けないのだ。

ところで、フジテレビのホームページでは「タテモトマサコ」以外のスタッフはどこにも書かれていない。こういうのはとても不親切だ。データはちゃんと掲載してほしいな。

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