« 映画『さくら』 | Main | 『少年と犬』馳星周(書評) »

Monday, November 23, 2020

基礎代謝量の不思議

【11月23日 記】 僕は記録をつけるのが好きで、実際いろんな記録をつけているのですが、その中には自身の健康に関するものもあります。そういうデータを記録し始めたきっかけのひとつは、体重だけではなくていろいろなものを測れる体重計の出現でした。

しかし、この体重計で計測する基礎代謝量の変化を日々眺めていますと、果たしてこれで合っているのかなと疑問に思うことが少なくありません。

たとえば、体重が増えると基礎代謝量が増えるからです。

同じ身長の人どうしで比較すると、一般的に体重の重い人のほうが安静にしている時のエネルギー消費量が大きい、ということは何となく感覚的に分かるのですが、同じひとりの人間が、肥満が進んでくると消費するエネルギーも増えるというのは、どうもよく分かりません。

それだけではありません。

僕はあるときにこの基礎代謝量がガクッと落ちたのです。それまでは一定水準で遷移してきたのに、ある日突然ガクッと落ちて、以来その低い水準で安定して全く元に戻らないのです。

それはいつ、どのタイミングだったかと言えば、体重計を買い替えたタイミングだったのです。

なーんだ、と思いません? 体重計によってこんなに差が出るなんて、どんだけいい加減なんだ!と呆れていたのですが、いろいろ調べてみて、いろいろ解って来ました。

まず、僕は基礎代謝量=安静時代謝量だと思っていたのですが、それは間違いであるということ。

前者は BMR、後者は RMR と略されており、

安静時代謝とは、基礎代謝量測定時のように姿勢や食事、室温、などの測定条件を規定しないで、仰臥位あるいは座位で安静に過ごしている状態消費されるエネルギーのことです。

通常、安静時代謝は、基礎代謝の 10〜20%増しとしています。

なのだそうです。

え? ひょっとしたら前の体重計で測っていたのは基礎代謝量ではなくて安静時代謝量だったのかも。いや、違うな。今の 10〜20%増しだと数値が大きすぎます。うーん、やっぱり体重計の機器間の誤差なんでしょうか?

しかし、そんなこんなして調べているうちに、基礎代謝量を推計する公式を見つけました。Wを体重(kg)、Hを身長(cm)、Aを年齢(歳)とすると:

【国立健康・栄養研究所の式(Ganpuleの式)】
(健康な日本人において妥当性が比較的高い推定式)

男性
(0.0481×W+0.0234×H-0.0138×A-0.4235)×1000/4.186
女性
(0.0481×W+0.0234×H-0.0138×A-0.9708)×1000/4.186

【FAO/WHO/UNUの式】
(国際的に用いられている推定式)

男性 18〜29歳
(64.4×W-113.0×H/100+3000)/4.186
男性 30〜59歳
(47.2×W+66.9×H/100-3769)/4.186
男性 60歳以上
(36.8×W+4719.5×H/100-4481)/4.186
女性 18〜29歳
(55.6×W+1397.4×H/100+148)/4.186
女性 30〜59歳
(36.4×W+104.6×H/100-3619)/4.186
女性 60歳以上
(38.5×W+2665.2×H/100-1264)/4.186

他にもいくつか公式があるみたいです。基礎代謝=除脂肪体重(kg)×28.5 なんてのもありました。

つまり、多分前の体重計と今の体重計では採用している公式が異なるということなんでしょう。

しかし、いずれの公式によっても、体重が重いほど基礎代謝量は大きくなる、つまり、ぶくぶく太れば太るほど、消費エネルギーが増えるということです。これはやっぱり納得が行きません。

基礎代謝量は通常10代をピークに加齢とともに低下します。また体の組成すなわち筋肉と脂肪の比率も基礎代謝量に大きく影響します。基礎代謝量を臓器別に見ると、筋肉・肝臓・脳がほぼ2割ずつを消費しており、筋肉の少ない人は基礎代謝量が低くなります。一般に男性に比べ女性の基礎代謝量が低いのはこのためです。

運動不足の肥満者では、筋肉量が少なく基礎代謝が低下しているため、減量がうまく進まない人がいます。

なんて記述もありました。我々が昨日より体重が 1kg 増えたという場合、筋肉がついたとはあまり考えられません。なのに体重計では一律に基礎代謝が増えたと認定されるのです(まあ、どういうメカニズムか知りませんが、体脂肪率も計測してはいるので、それも加味しているとは思いますが)。

結局のところ、所詮こういう機械で基礎代謝量を正確に推計するのは無理だということなんでしょうかね?

|

« 映画『さくら』 | Main | 『少年と犬』馳星周(書評) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 映画『さくら』 | Main | 『少年と犬』馳星周(書評) »