Angelheaded Hipster
【9月15日 記】 最近は音楽CD をめったに買わなくなったし、買ってもここに記事を上げたりすることも少なくなったが、久しぶりに上げてみる。
Angelheaded Hipster: The Songs Of Marc Bolan & T. Rex (Various Artist)
所謂トリビュート・アルバムである。2枚組26曲入り。トリビュートの対象は、タイトルにあるように T.Rex、あるいはマーク・ボランである。
T.Rex は僕が人生で最初に熱狂したアーティストだった。グラム・ロックの旗手として彼らが華々しくデビューした時、僕は中学生だった。
僕が T.Rex が好きだと言うと、ロック好きのクラスメイトは「あんなギターは二流、三流どころか五流や」と馬鹿にした。
確かに、ハードロックのリード・ギタリストと比べると動きの少ないプレイだ(笑) でも、あの少ない音で豊かなサウンドを構成して行く能力はすごいと僕は思っていた。もちろんトニー・ヴィスコンティの技量に負うところも多かったのだけれど。
音はブギでブルーズでロックだった。そして、そこで繰り広げられるのはまさしくロックの魂だった。そんな音に惹かれたこともあるが、僕が一番魅せられたのは歌詞だった。それは人生で最初に出遭った「詩」だった。
But you won't fool the children of the revolution!
馬鹿にすんなよ、俺たちは革命の申し子なんだ
(Children of the Revolution)
そんな派手なフレーズだけじゃなかった。
I danced myself right out of the womb
I dance myself into the tomb
(Cosmic Dancer)
というような、意味が対句になると同時に音が脚韻になっているところに驚嘆した。
Bobby's all right, Bobby's all right
He's a natural born poet, but just out of sight
(Telegram Sam)
の Bobby がボブ・ディランのことだと後から知って狂喜した。
さて、このアルバムのことも少し書こう。
この手のアルバムの楽しみ方、と言うか、魅力は2通りある。ひとつは原曲に近いアレンジで当時の熱を再現してくれるもの。もうひとつは、果敢な新解釈のアレンジで度肝を抜いてくれるもの。
ただし、後者はかなり力量のあるプロデューサと編曲家の手によらないと全くの失敗に終わる。
このアルバムは割合原曲に近いものが多くて、そこが楽しい。あまり大胆に攻めたアレンジはない。
最近洋楽を聴かないので、演者の名前を見ても知らない、あるいは聞いたことはあるがピンと来ない人が多いのだが、中には U2 feat. Elton John とか Todd Rundgren などという大物もいる。Nena なんて懐かしい名前も。
僕はここに収められている曲のほとんどを知っているが、当然忘れていた曲も多くて、曲が始まるとともにあの何とも言えない groovy な感じが甦ってきた。
Amazon のレビューには酷評も少なくないが、いや、これはこれでとても良い企画だと思った。
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