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Monday, July 06, 2020

『南瓜とマヨネーズ』

【7月6日 記】 WOWOWから録画したままずっと放ってあった映画『南瓜とマヨネーズ』を観た。冨永昌敬監督。この監督は割合好きだ。2017年のキネ旬第25位。

ツチダ(臼田あさ美)はせいいち(太賀)と同棲している。せいいちはプロのミュージシャンを目指していて、日夜曲作りに励んでいるが全く仕事をしておらず、完全にヒモ状態。昔のバンド仲間(浅香航大、若葉竜也ら)とも意見が対立して抜けてしまった。

ツチダのほうは、しかし、せいいちに徹底的に自分の夢を追い求めてほしい。そのためなら何だってする。27歳にして生まれて初めて水商売のバイトもやり、そこの客の安原(光石研)に求められて怪しげな“愛人”にもなった。せいいちのためなら何だってできる。

そこまで尽くされると大抵の男は息苦しくなる。せいいちにもそんな瞬間が来る。そして、ある日ツチダのバイトがバレて、2人の仲は気まずくなってくる。でも、別れはしない。

ツチダはある日、バンドマンのハギオ(オダギリジョー)と再会する。昔ずっと好きだった男だ。そして、追っかけるようにしてよりを戻す。

オダギリジョーが相変わらずめちゃくちゃ自然で巧い。悪い奴じゃないけどちゃらんぽらん。昔と同じように好きで好きで追っかけてくるツチダに対して、「まあ、やらせてくれるんなら」みたいな感じがよく出ている。

一方で、誰かにべったりくっついていないと生きていけないツチダを、臼田あさ美が好演している。あっちへふらふら、こっちへふらふら。

このあと、ツチダとせいいちは結局別れてしまったり、せいいちは昔のバンド仲間と和解したり、ハギオとつきあいながらツチダはせいいちのことがやっぱり気がかりだったり、音楽周りの仕事をしているので結局せいいちとまた出会うことになったり。

ああ、観ていてダルいなあ、という感じの恋愛ドラマなのである。ああ、男と女がダメになるパタンってこうだよなあ、と痛々しい感じがする。こういう間の悪い感じになってくると、もう別れるしかないのかな、と思う。

ともかく、こういう恋愛ドラマは結構しんどいのだ。しかし、そんな感じでぐったりしながら観ていたら、ラストシーンがあまりに鮮やかで、ちょっとびっくりした。

いや、びっくりするような展開があるわけでもなく、圧倒的なカメラワークがあるわけでもない。ただ、せいいちが歌って、ツチダの独白の感想があるだけなのだが、このひとこと、この終わり方は秀逸だ。そして、ここに持ってくるためのここまでの台詞回しと筋運びも秀逸だった。

エンドロールを観ていたら、原作は魚喃キリコだった。そうだったのか!

同じく彼女の漫画を原作とした『ストロベリーショートケイクス』も秀逸な映画だった。僕は彼女の漫画はこの映画の原作しか読んでいないが、やはりこの人の感覚が秀逸なのである。

そして、音楽監修と劇中歌制作はやくしまるえつこだった。この歌が、妙に染みるのだ。

脚本も冨永昌敬、撮影は富永監督とよく組んでいる月永雄太である。

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