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Saturday, June 27, 2020

映画『もののけ姫』

【6月27日 記】 映画『もののけ姫』を観てきた──などと書くと、ああ、コロナの影響で延期になった映画の公開日は決まらないし、しびれを切らして、「もう何度も観た映画だけど、映画館でやるのであれば」と見に行った、と思われるかもしれないが、そうではない。

僕はスタジオジブリの映画はほとんど観ていないのである。映画館でもテレビでも。

『千と千尋の神隠し』は観た。だが、『ナウシカ』も『ラピュタ』も『トトロ』も『火垂るの墓』も『魔女の宅急便』も観ていない。『おもひでぽろぽろ』は観たが、『紅の豚』も『平成たぬき合戦』も『耳をすませば』も観ていない。

『もののけ姫』も『となりの山田くん』も『猫の恩返し』も『ハウル』も『ゲド』も『ポニョ』も『アリエッティ』もも観ていない。

『コクリコ坂から』と『風立ちぬ』は観たが『かぐや姫』は観ていない。『思い出のマーニー』は観たが『レッドタートル』は観ていない。それで全てだ。割と現実っぽい世界の設定の作品ばかりを観ている気がする。

で、なんとなく今さら乗りにくくて観ていなかった面もあったのだが、映画館でやるならと思って観に行ったのは確かだ。民放に勤めていてこんなことを書くのもアレだが、こと映画に関してはもう CM に何度も遮られながら観る気が起こらないから。

さて、僕は大抵まだみんながあまり観ていないうちに観て、みんながあまりそれについて書いていないうちに書くのが好きで、こんなに何度も観られ興収も稼ぎ評価も定まった作品にあまり書くことが思い浮かばないのだが、やっぱり作画のきれいさは印象に残る。

もう出だしの森のシーンの雲とか霞とか、木漏れ日の中をヤックルに乗ったアシタカが疾走するところなど、やっぱり技量が一段上である

ジブリを養護する人たちの中には、昨今の 3DCG アニメを否定する人もいるが、僕そういう馬鹿げた考えには加担しない。

それは水彩画と水墨画みたいな作風の違いでしかなく、たくさんの色を使う水彩画のほうが偉いわけでも、墨の濃淡だけで立体的に見せる水墨画のほうが立派なわけでもない。ただ、それぞれの作風の中にはっきりとした巧拙があるだけのことだ。

ジブリはこの当時から平面アニメの作画的技量の頂点にあったということだと思う。それはまさに日本アニメの伝統的な人物の描き方だが、それが動画になった時にはややぎこちないけれど不思議な魅力があり、背景の描き方に卓越しており、構図と変化に一日の長がある。

そして、こんな筋、宮崎さん、たったひとりで考えたの?と言いたくなる設定。多分彼の発想自体が絵画的なのだと思う。

1997年当時の日本映画の興行記録を塗り替えた素晴らしい出来を追体験させてもらった。ただ、音楽だけはいつも悪趣味だなあと思う(ジブリ映画の音楽のファンというのも相当いるみたいだから、こんなことを書くと叩かれるかもしれないがw)。

さて、僕はこういう映画からとてもシンプルなメッセージやテーマを読み取ろうとは思わない。そういうのはすごくもったいない見方だと思う。もう少し余韻を味わおうと思う。

ナウシカとどちらを観るかとても迷ったのだが、まずはもののけ姫に満足。機会があればナウシカも観るかもしれない。

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