現金、カード、QRコード
【6月24日 記】 「カード払いにすると今月一体いくら使ったのか分からなくなる」と言って、頑固にクレジットカードを持たない人たちがいた──現金主義者。もう何十年も前の話だ。
僕もまだカードを持っていない学生時代(僕らの学生時代はカードなんか持っている奴はいなかった)にはそうなのかもしれないと思っていたが、実際使ってみるとそんなことはなかった。
だって、毎月精算の連絡が来るんだもの(それが昔みたいに郵送なのか、メールが来るのか、自分で Web でチェックするのかは別として)。
そういう意味で言うと、分からなくなるのは PayPay や LINE Pay などの QRコード払いである。
これは自分でいちいちチャージするにしても、オートチャージにするにしても、ほんとに今月一体何回いくらチャージしたのか分からなくなる。買い物して、「あれ? もう残高がない。一昨日チャージしたんじゃなかったっけ?」などと思うのだが、定かでない。
「だから QRコード払いはやらない」と言う現金&カード主義者というのはいるのだろうか?
かつて「現金 VS カード」という対立構造であったものが、今は「現金/カード VS QRコード払い」という対立構造に変わってきているのが面白い。かつて「新聞 VS テレビ」という対立構造であったものが「トラディショナル・メディア(単刀直入にオールド・メディアという言い方もある。要するに新聞やテレビを含む4マス媒体である)VS インターネット」という対立構造に変わってきたみたいに。
そして、インターネットの普及によって一番衰えたのはトラディショナル・メディアの一角である新聞である。同様に QRコード払いの普及によって一番使わなくなったのは、さきほど「現金/カード」とひと括りにしたうちの現金である。
このところ、ATM からお金を下ろす機会も金額も如実に減っている。その上に、キャッシュレス化のキャンペーンによるペイバックも結構ある。なんだか嬉しい気分だが、しかし、実は QRコード払いでいくら使っているのか、ちゃんと把握していない。
ま、人間、いつの時代も何かがよく分かっていないのかもしれない、という脳天気な一般論に転化して、この不安を乗り越えることにしよう。
Comments