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Tuesday, February 11, 2020

映画『ヲタクに恋は難しい』

【2月11日 記】 映画『ヲタクに恋は難しい』を観てきた。

僕はとりたてて福田雄一のファンではないが、福田雄一監督作品はちょこちょこ観ている。ちょうど、とりたてて宮藤官九郎のファンではないが彼の手掛けたものはちょこちょこ観ているのと同じくらい。

では、何を目当てに見に行ったか言うと、それは高畑充希である。結構好きなのである。

今回は漫画の原作があるとは言え、それをミュージカル仕立てにするというのは秀逸なアイデアであると思った。しかも、それを撮ったのがミュージカルを撮ったことがない福田雄一だというところがすごいと思う。

で、ミュージカルと言いながら、頭からは歌わない。冒頭は佐藤二朗の会社でのベタ喋り。いつもの佐藤二朗ワールド。それを高畑充希ほか部下たちが聞いているシーン。ほぼ佐藤二朗ショーと言って良いくらい。

これは福田雄一と言えば佐藤二朗とムロツヨシを期待する観客へのファンサービスなのだろう。その後も佐藤二朗は歌いも踊りもしない。だが、ムロツヨシは歌って踊る(巧くないけどw)。

で、最初のミュージカルは宏嵩(山﨑賢人)と成海(高畑充希)がつきあうことになって、手に手を取って走って行った先が何故か聖地・東京ビッグサイトの前で、そこで大勢のコスプレ・ダンサーズと一緒に歌い踊るシーン。

映画を通じて無表情な宏嵩とハイテンションな成海(確かにヲタクと言われる人にはどちらのタイプもいる!)の対照が面白いのだが、ダンスシーンもそのままなのがおかしい。

2つめのミュージカル・シーンは夜の池袋。質の大黒屋を奥に見て、鳴海がこちらに歩いてくるのをカメラが引きながら撮り、途中で4人ぐらいの女性ダンサーがフレーム・インしてくる。結構な長回しでダンスの半分ぐらいをワンカットに収めている。

この映画ではこういう長回しのミュージカル・シーンも多いし、こういう奥行きの深い構図も随所に出てくる。

3つめが渋谷109前。これは成海のバックに大勢のコスプレ・ダンサーがいるが、コスプレとOLっぽい服装との2バージョンを撮って編集で交互に繋げてある。他のシーンも含めて、こんな大都会の真ん中でのロケは大変だったろうなと思う。

高畑充希はミュージカルもやってきたし、最近では星野源と一緒に出演したNHK『おげんさんといっしょ』でも歌の巧さは実証済みである。ものすごく良い声。音程も良く、声に張りも表情もある。勢いミュージカル部分は高畑充希中心になる。山崎賢人はあまり歌わない。

ところが、ファミレスのシーンで山﨑賢人がソロで歌い出すと、高音部に伸びがあり意外に良い声。歌もダンスもかなりのレッスンを積んだらしい。そして、共演陣では、菜々緒がこれまたとても伸びやかな良い声で、斎藤工がこれまたダンスも歌も芝居も良くて、特に高畑充希とのコーラスが美しかった。

宏嵩と成海は幼馴染であり、成海が途中入社してきたことによって同僚になった。2人ともヲタクだが、宏嵩は廃人同然のゲームヲタク、成海はBL好きの腐女子で、ジャンルは微妙に重ならない。

ヲタバレすると彼氏に振られたり会社に居づらくなったりするのでひた隠しにしている成海と、別にそれを隠しもしない宏嵩。ヲタクの気持ちが解るので一緒にいると楽ではあるが、鬱陶しく思うこともある。でも、宏嵩は自分が成海の彼氏になったら成海は楽になるだろうと、曖昧な感じの告白をして、そこから2人の交際が始まる。

あとはヲタクの恋愛ドラマである。高畑充希が死にそうなぐらい可愛い。もちろん福田雄一脚本なので、随所で吹き出してしまう。ヲタク語がいっぱい出てくるのだが、半分ぐらいは何のこっちゃ理解できない。この辺りはよくリサーチできているので感心した。

日本のミュージカルであり、しかもミュージカルを撮ったことのない監督の演出ということで、どうしても『ダンスウィズミー』と比較してしまう。僕は矢口史靖監督のファンなのでこんなことを書くのは心苦しいが、『ヲタクに恋は難しい』のほうが数段素晴らしかったと思う。

三吉彩花と高畑充希ではキャラの立ち方が段違いである。

そして、音楽の差。僕はこの映画を観ていて途中からこの音楽は誰が手掛けたのかが気になって仕方がなくなった。エンディング・ロールを見ると鷺巣詩郎だった。うーむ、名のある裏方という感じの大御所ではないか。全ての曲を鷺巣がほとんど独りで作曲している。つまりはオリジナルである。

曲自体も良いが、ラインクリシェを随所に上手にあしらったジャジーなアレンジで、これは本当に見事なミュージカルになったと思う。詞は及川眠子と藤林聖子が手掛けている。

今思えば『ダンスウィズミー』で『狙いうち』のような手垢のついた歌謡曲を使ったのは失敗だった。都倉俊一は歌謡界ではヨーロッパ的なメロディも数多く書いている人なので、どうしても都倉の曲を使いたかったのならせめて他の作品にしておけば良かったのではないだろうか。

やっぱりミュージカルにおいては楽曲の占める比重が大きい。

もちろんダンスについては、(出演者たちはかなり頑張っていたとは言え)ブロードウェイと比べると遥かに劣る。だが、気持ちの良いシーンの連続で(特に斎藤工と高畑充希の屋上でのシーンは良かった)、僕はとても楽しかった。コメディエンヌとしての高畑充希の魅力も全面開放で、全く文句のない娯楽作品。

とってもとっても楽しい、とってもとっても良い映画だった。僕は心酔したと言って良いくらい気持ちが良かった。心からベタ褒めしたい作品である。

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