『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』マスコミ試写会
【1月20日 記】『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』のマスコミ試写会に行ってきた。ちなみに前作も観ている。
前作から今作の間に一番状況が変わったのは成田凌だろう(あのとき田中圭はすでに売れ始めていたし、北川景子はもっと前から売れていた)。
成田凌は前作の後、『チワワちゃん』『愛がなんだ』『さよならくちびる』『カツベン』など、主演/準主演級の出演が続き、今や人気・実力ともに押しも押されもせぬ若手のトップスターになった。
だから、映画としてもこの人気にあやかりたいところなのだが、残念ながら前作では人格に破綻をきたした犯人・浦野の役であり、逮捕されて事件は解決済みなので、さすがに今作でも犯人役というわけには行かなくなった。
それで獄中から捜査に示唆を与えるという役割を、誰かが考え出したのだろう。
続編を作る場合、もう一度田中圭と北川景子のカップルが被害に遭うという設定は(犯人が獄中にいるだけに)さすがに無理があるし、加賀谷刑事役の千葉雄大だけではあまりに味が薄い。そこに白石麻衣をカップリングしたとしても、もうひとつ映画的なひねりが必要になる。
そこで、新しいサイバー犯罪の捜査に浦野が協力するという設定を採った。なかなかのアイデアである。タイトルについても、明らかに今作の犯人と浦野のダブル・ミーニングになっている。
田中圭と北川景子の結婚式のシーンで幕を開けたのも、前作からの主役の交代を端的に表していて良かったと思う。
もちろん、あの浦野が警察に素直に協力するわけがないので、そこに向けては筋道を引き、前回同様、浦野が加賀谷をいたぶりながら作業を進めて行く構図を採っている。この辺もキャラ設定が崩れないようにうまく仕組んである。
ただ、サイバー犯罪ものの映画はどうしてもそうなりがちなのだが、やっぱりちょっと展開に無理がある。巧く行くときに巧く行き過ぎるのである。天才ハッカー同士の対決になるのだから、そう簡単に相手の障壁は破れないはずだ。
まるでIPアドレスが分かると家の所在地が分かるみたいな描き方もよろしくない(まあ、そこでくだくだリアリティを追求し始めるとテンポが落ちてしまうのも確かではあるが)。そして、その IPアドレスにしても、絶対偽装していて、そう簡単に割り出せるものではないはずだ。
しかし、そういう欠陥は点在するのだが、そこは観客にあまり考えるスキを与えず、早い展開でどんどん観客をドライブしているのは、やはりさすがに中田秀夫監督である。真上から撮ったり、顔面に思いっきり寄ったり、この人はどう撮れば怖いかを知り尽くしている。
で、ああ、やっぱりこいつが犯人だったのか、と判った後も、ちょっと僕には予想できなかったどんでん返しがあり、前作を凌駕する成田凌の怪演ぶりもあって、結局面白かった。
2/21(金)全国公開。
今回の終わり方だと、浦野と加賀谷を残して、もう1本続編が撮れそうだ。
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