映画『屍人荘の殺人』
【12月22日 記】 映画『屍人荘の殺人』を観てきた。木村ひさし監督。
特段観たいという気持ちもなかったのだが、今月中にもう1本見ないと、ここまで溜めてきた SMT Members のポイントがパーになると松竹さんが脅すので、丸の内か新宿のピカデリーで上映中の作品から選んだ。
浜辺美波、神木隆之介、中村倫也の出演。この3人だけでかなりの集客力があるのだろう。ほぼ満席であった。でも、彼らを目当てに劇場に来た人たちをどれだけ満足させられたのかは僕には分からない。
僕としては、せっかく人気も実力もついてきた役者さんたちなのだから、もう少し出演作を選ばないと自らの価値を毀損することになるのでは?と思うのだが、劇場を出たときに「面白かったね」「良かったね」などの複数の声が背後から耳に入ってきたので、今の時代はこういうのが良いのかもしれない。
原作の小説があって、いろいろ賞も獲ったらしいのだが、僕は多分この原作を読んでもあまり感心しないのではないかと思う。というのは、僕は謎解きはおろか、そもそも犯人探しにさえあまり興味がなく、ミステリを読むときにも一般の小説同様に人物が描けているかどうかを鑑賞しているからだ。
トリックとか謎解きとか、そういうことがヨダレが出るほど好きだという人向けではないだろうか?
で、推理モノだと思って見ていたら、いきなりゾンビである(笑)
ただ、これは密室殺人の設定を作るために無理やり「ゾンビが蠢く“紫湛荘”の外には誰も一歩も踏み出せない」という状況を作ったわけである。そして、そのゾンビが後半の展開に絡んできて、謎解きとパニックが一緒になる──こういうハチャメチャな発想は、実は僕は好きである。
だから、もうちょっと工夫したらもっと面白い映画になったのではないかな、と思う。そのためにはもっともっとぶっ飛ぶ必要があったのではないだろうか。
学内の名探偵たる明智(中村倫也)と比留子(浜辺美波)は少し変わった人間として描かれているが、これをもっともっと振り切って超エキセントリックな存在にして、その彼らに対していちいち驚きビビる凡人を置いて、しかもその驚き方・ビビり方が強烈な一発ギャグになっている──というような仕掛けが必要なのではないかな。例えばの話だけれど。
それを考えると、あるいは神木隆之介ではなく加藤諒とか濱田岳みたいな個性の強い役者を充てたほうが良かったかもしれない。そして、浜辺美波はもっともっと振り切れる女優なので、どんどん追い込んでもっとぶっちぎれさせたら面白かったのではないかなと思う。
また、どういう経緯でゾンビが大量発生することになったかについても、なるほどと皆が唸るような関連付け及び謎解きをしてくれたりすると、僕としてはもっと満足できたと思う。
それにしても浜辺美波は少し痩せたんじゃないかな? 好きな女優だけに少し心配。
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