大雨の東京で傘がない
【11月30日 記】 先日、西田二郎さんと片岡秀夫さんと森永真弓さんの3人が映画『天気の子』を語る会を聴きに行ったときに、どうしてもこの映画に不満を感じる人たちの話が出て、それで僕もウチの会社のある人のことを思い出した(この先、この映画のネタバレがあります)。
彼が何歳なのか正確なところは知らないが、多分もう40代に入っていると思う。男性である。
その彼が『天気の子』を観て、facebook で激しく憤っていたのである。
曰く、「みんな本当にこれでいいのか? 東京が水没したままなんだぞ。本当にこのままでいいのか?」と。
この映画に社会と個人の相克を感じ取って賛否を論じた人は多かったが、彼が嘆いたのは天気が回復せず、東京が水浸しのまま映画が終わったという一点であった。
『天気の子』はアニメ映画(もう少し口はばったい言い方をすると、芸術作品)なのであって選挙演説ではないのだから、これは東京が水浸しのままであるべきであるという主張をするものではない。
まあ、芸術作品であれ選挙演説であれ、そこから何を感じるかは個人の自由なんだが、しかし、それにしてもそんな感じ方をする日本人がいるのか!と僕は少し唖然とした。えらい時代になったもんだ、と少し恐ろしい気もした。
しかし、昨日、井上陽水の番組を録画セットした時にふと思い出したのである。昔からそういう人はいたのだ。
井上陽水の大ヒット曲『傘がない』について、やっぱり激しく憤っている人がいたのだ。
「自殺する若者の増加よりも、自分が雨の日に彼女に会いに行くのに傘がないことのほうが問題なのか? 本当にそれでいいのか?」と。
日本は存外あまり変わっていないのかもしれない。
Comments
うーむ、この記事で私のなかの「天気の子」の評価がぐんと伸びました。久しぶりに大兄の記事で笑うことができた。
Posted by: hikomal | Sunday, December 01, 2019 22:34