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Thursday, October 10, 2019

映画『左様なら』

【10月10日 記】 映画『左様なら』を観てきた。

ああ、青春って、ほんとにめんどくさーい!って叫びたくなるような映画。でも、確かにあんなこと、こんなことあった。

由紀(芋生遥)は綾(祷キララ)と仲が良い。でも、その綾が突然死んでしまう。クラスの中ではちょっと孤高の存在っぽくて、とっつきの悪かった綾に、いろんな噂が立つ。

そして、死んでしまった綾を露骨にこき下ろしていたクラスのボスっぽい女子・結花(日高七海)に腹を立てた由紀は、彼女に頭から花瓶の水を浴びせてしまう。それで、その日から由紀はみんなにハブられ始める。

──って、あらすじを書いても仕方がない。この映画はそこじゃないんだ。そんなストーリーを追っても仕方がない。

大勢の男女高校生が登場するのだけれど、役の軽重はあっても、一人ひとりがほんとうにくっきりと描かれている。

ああ、青春ってめんどくさい。傷ついて、傷つけて、その傷つき方、傷つけ方が一人ひとり違う。あんな奴もいた、こんな奴もいた。それは自然なことなんだが、それがとてもめんどくさい。

こういう低予算映画の場合、カメラの台数が限られるので、必然的に長回しになる。その長回しに役者たちはよく耐え、よく応え、長回しだからこその間の悪さ、バツの悪さがよく出ていた。

ゴージャスな映画じゃない。アマチュアっぽいところも少なからずある。台詞は少し聞き取りにくい。おまけに、上映後のトークショーではゲストに飯塚健監督が来ていたこともあって少し緊張したのか、石橋夕帆監督は自分の作品を上手く語れない。

でも、よくこんな会話が書けるもんだ。細部にリアリティが宿っている。原作はごく短いもので、石橋監督がそれを描き広げて行ったと言う。この手腕は大したものである。

助演の日高七海さんとは僕は twitter で繋がっていて、実際に会ったこともあるのだが、この映画の彼女はすごかった!──端的に言って嫌な感じの小娘。でも、こういう子、いる。意外に繊細で弱い子だったりもする。

そして、主役の由紀みたいな弱そうで強くて、強そうで弱くて、冷たいようで優しい子もいる。僕は Bob Dylan の "Just Like A Woman" の詞 But she breaks just like a little girl を思い出した。芋生遥って、ちょっといそうでいない女優だ。

高校時代、校庭の端の、体育館の横のところで、同級生の男子に突然、僕には何の思い当たるフシもないのに、全く何の脈略もなく、「お前なんか死んでしまえ!」と言われたことがあった。急にそのことを思い出した。

青春って辛かった。いや、ある意味人生はいつだって辛いのだ。そんな辛さにひとつずつ「左様なら」しながら、僕らは次の道を行くのだ。

Sayounara

(写真はトークショー後の撮影セッション: 左から石橋夕帆監督、主演の芋生遥、助演の日高七海、ゲストの飯塚健監督)

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