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Wednesday, October 30, 2019

『雪の階』奥泉光(書評)

【10月30日 記】 奥泉光を読むのは、調べてみると、『虫樹音楽集』と『東京自叙伝』に次いで3作目なのだが、それがどんな小説であったか例によって記憶がない。でも、この作家は面白いという記憶だけははっきりあって、また読んでみたくなった。

しかし、それにしても随分待たされた。何故なら僕は、今はもう電子書籍しか読まないからで、紙の本が出てから電子化するまでどれくらい待たされるかはその本によるのだが、この本には随分待たされた。

Amazon かどこかで本の紹介文をちらっと読んで、これが 2.26事件のころの話だということは知っていた。でも、結局それ以外の知識はほとんど得ずに読み始めて、それが良かった。

これは果たして典型的な時代小説なのか、単にこの時代を材にとった創作ものなのか、戦争小説なのか犯罪小説なのか、あるいは真犯人探しが中心となる推理ものなのか、それとも超自然的な力を扱ったミステリなのか、あるいは恋愛ものなんてこともあるのか…。

読んでいてどちらに進むのか皆目見当がつかないのである。

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Sunday, October 27, 2019

映画『楽園』のパンフレットから

【10月27日 追記】 昨日観て昨日書いた記事の続き。この文章はネタバレ、と言うか、映画の結末部分に触れているので要注意。

映画の最後のほうに、現在の紡(杉咲花)が青田のY字路で豪士(綾野剛)が紡の同級生・愛華の後を追って歩いて行くのを眺めているシーンがある。

愛華の失踪事件は12年前であり、その疑いをかけられた豪士も既に死んでいるが、それを眺めているのは現在の紡──という幻視っぽいシーンである。こういう構造にしたことには大きな意味がある。

瀬々敬久監督もパンフレットで語っているように、小説であれば過去のことは過去形で、現在のことは現在形で書けるが、映画の場合は全て眼前で現在形で進行してしまう。だから、ここに眺めている現在の紡を配置しなければ、それは事実という位置づけの映像になってしまう。

つまり、映画も終盤にさしかかったところで、「事実はこうだったんですよ。誰からも無視されていた豪士が愛華に声をかけられて花の飾りをもらい、そのあと豪士は愛華のあとをつけていったんですよ」という種明かしをすることになってしまう。

ところが、それを見ている紡がいることで、これは本当のことなのか幻想なのか、途端に分からなくなってしまう。いや、仮にこれが事実であったとしても、描かれているのは豪士が愛華の後ろを歩いているだけの映像であって、その後豪士が愛華を殺したかどうかには全く触れていない。

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Saturday, October 26, 2019

映画『楽園』

【10月26日 記】 映画『楽園』を観てきた。

瀬々敬久監督はとりたてて好きな監督ではない。かと言って、別に観るのを避けている監督でもない。

いつも極めてストレートでありながら抑え気味の表現で、それが緊張感を生むのだけれど、僕はもうちょっとケレン味があるほうが好きなのは確かである。

ただ、画が語るという点では、なぜそんなことができるのかと不思議になるくらいの力がある。

この映画も冒頭からの青田の空撮、そして、吉田修一の原作小説のタイトルでもある“青田のY字路”の禍々しさは何だろう?

紡(つむぎ)が豪士(たけし)に「どこかに行きたいですか?」と訊いた、こちらはY字路ではなく、青田のT字路の、行き詰まって宙吊りにされたような感じ。ちなみにこのシーンは物語の進行には直接必要のないものだが、ものすごく印象深いシーンだ。

撮影は鍋島淳裕である。

吉田修一の5編からなる『犯罪小説集』から前掲の『青田のY字路』と『万屋善次郎』の2編を選んだと言うが、監督によるアレンジがかなり施されていて、例えば原作ではそれぞれの物語は独立したものであって交錯しないのだそうだ。

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Tuesday, October 22, 2019

ラグビー・ワールドカップ日本代表チームに思う

【10月22日 記】 日本代表チームの健闘でラグビー・ワールドカップは随分と盛り上がった(日本が敗退した後も盛り上がっているのかどうかは知らないが)。

僕は、前半は海外旅行中だったので全然見ていないのだが、後半は妻が見たいと言い出したこともあって、テレビで何試合かを見た。そもそもがラグビーではなくアメリカン・フットボールが好きなので、にわかラグビー・ファンにはならなかったが、少なくともにわか視聴者にはなったわけだ。

で、何よりも驚いたのは、外国人選手が多いことだ。他のスポーツではこんなに外国人が多い日本代表チームは見たことがない。

いや、だからダメだとか、俺はそんなもの日本代表だと認めないとか言おうとしているのではない。良いとか悪いとかの前に、ただ驚いたのである。

ここでは「外国人」という言葉をどういう定義で使っているかと言うと、何も定義せず、単なる印象論で語っている──つまり、外見の印象と氏名の印象からぼんやりと外国人と書いている。

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Sunday, October 20, 2019

本来今日書くはずだったこと

【10月20日 記】 昨日、「そうそう、このことをブログに書こう」と思いついたことが何だったのか、今日一日かかって思い出せない。

そんなことはよくある。若い頃からよくあったから、別に年のせいだと落ち込んだりもしていない。しかし、思い出せないのは気持ちが悪い。

だから普段から僕は iPhone のリマインダーと Evernote をフル稼働して、何か思いついたらメモ、決まったらメモと、こまめに記録を欠かさないようにしているのだが、たまにこんな風に漏れることがある。

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Thursday, October 17, 2019

ヘルシンキの夜は更けて

【10月17日 記】 このブログには何度も書いているが、僕は Sleep Cycle というアプリを使っている。

機能は、1)睡眠が浅くなったところで起こしてくれるアラーム、2)睡眠の記録、である。

で、2)ではいろんな指標が記録されるのだが、その中で「快眠度」というのがある。

これは、ま、考えれば想像がつくと思うのだが、普段から慣れている自宅等での睡眠の質が必然的に高く、快眠度も高くなる。

僕の場合は、今住んでいる東京の某区の快眠度が高く、前に住んでいた杉並区の数値も高い。

実は過去にこのアプリのデータが全部消えてしまったことがある。それで、東京に引越す準備期間の、睡眠時間も短く、あまり寝付きが良くなかった時期のデータの比重が大きくなってしまって低くなってしまったが、もし全データが残っていれば長らく住んでいた西宮市の平均快眠度もかなり高かったはずだ。

それに対して、仕事でよく出張し宿泊している大阪市や、逆に本社勤務時代によく出張で来ていた東京都港区でのデータは、それらに比べてやや低い値になっている。定宿といえども、やっぱり仕事で来るとあまり眠れないのだな、と思う。

では、楽しい旅行ならよく眠れるかと言えば現実にはそうではなく、遊びに行くとついつい睡眠時間が短くなるということもあるのだろう、あまり高い快眠度は記録された試しがない。僕の場合、快眠度最悪の地は函館市、次に神戸市北区(これは男4人で1部屋に雑魚寝した有馬温泉だ)、その次が足柄下郡湯河原町、その次が足柄下郡箱根町、と旅行先がワースト上位を占めている。

ところが、先日フィンランドに旅行したら、なんと2泊したヘルシンキがぶっちぎりで1位に踊りだしてしまった。

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Monday, October 14, 2019

映画『惡の華』

【10月14日 記】 映画『惡の華』を観てきた。井口昇監督。そして、脚本が岡田麿里という、ちょっと考えられなかった組合せだ。ほんとは公開日に観たかったのだが、旅行中だったので果たせず今日になった。

唸るような出来だった。井口昇の映画世界がここに至って完成した気がする。今まで撮ってきた特撮ヒーロー物、エログロ、青春恋愛ドマラのどれもこれもが今ここに向かって収束した気がする。もう次の作品は撮れないのではないかと心配になるほどである。

この映画には連載開始直後から大評判になった原作漫画がある。

井口は押見修造による同名の漫画を読んで、これほど「酸素のように体に染み渡って理解できて感動した作品は初めて」と言い、いつか映画化したいと企画書を書き、8年の時を経てようやく映画化にこぎつけた。

一方、押見は19歳のときに井口監督の『クルシメさん』を観て、抜け出せなかった閉塞感を吹っ切れた感じがしたらしい。「漫画家になれたのは井口監督のおかげ」とまで言っており、井口監督による映画化を切望していた。

そんな具合だから、これは井口昇の、井口昇による、井口昇のための映画であると言って良いだろう。

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Saturday, October 12, 2019

台風の一日

【10月12日 記】 超大型の台風19号の影響でどこにも出られない。朝から合計4回、けたたましい警報が夫婦2台の iPhone で同時に鳴ったものの、避難とかいう状況ではない。

朝のうちにもう一度マンションの隣のコンビニに。品薄ではあるが開いてはいる。そして、お客さんはやたら多い。レジで「今日は一日閉めませんのでよろしくお願いします。商品が少なくてすみません」と店長らしき人が頭を下げる。

ゴミの日ということもあって、管理人さんは早朝から来ていた。ひょっとしたら泊まったのかもしれない。ふと気づくと、その管理人さんがコンビニで雑誌を立ち読みしていたので、夫婦で目配せして声を掛けずにマンションに戻る。

飲料水は昨日から汲んである。たまに会話をしながら、お互い自分のことを黙々とやっている。3時になったので僕がハーブティを淹れた。

そして、普段の何倍もの時間、テレビがついている。

窓の外は煙っている。雨粒が細かいので静かだ。

「まるで大晦日みたいね」と妻が言った。

やがて年が明けるように台風も過ぎて行くだろう。

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Thursday, October 10, 2019

映画『左様なら』

【10月10日 記】 映画『左様なら』を観てきた。

ああ、青春って、ほんとにめんどくさーい!って叫びたくなるような映画。でも、確かにあんなこと、こんなことあった。

由紀(芋生遥)は綾(祷キララ)と仲が良い。でも、その綾が突然死んでしまう。クラスの中ではちょっと孤高の存在っぽくて、とっつきの悪かった綾に、いろんな噂が立つ。

そして、死んでしまった綾を露骨にこき下ろしていたクラスのボスっぽい女子・結花(日高七海)に腹を立てた由紀は、彼女に頭から花瓶の水を浴びせてしまう。それで、その日から由紀はみんなにハブられ始める。

──って、あらすじを書いても仕方がない。この映画はそこじゃないんだ。そんなストーリーを追っても仕方がない。

大勢の男女高校生が登場するのだけれど、役の軽重はあっても、一人ひとりがほんとうにくっきりと描かれている。

ああ、青春ってめんどくさい。傷ついて、傷つけて、その傷つき方、傷つけ方が一人ひとり違う。あんな奴もいた、こんな奴もいた。それは自然なことなんだが、それがとてもめんどくさい。

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Tuesday, October 08, 2019

映画『蜜蜂と遠雷』

【10月8日 記】 映画『蜜蜂と遠雷』を観てきた。監督は『愚行録』の石川慶である。脚本と編集も手掛けている。

冒頭、7年ぶりに舞台に立った往年の天才少女ピアニスト・栄伝亜夜が、控室の鏡の前で、練習するように微笑む。一度、そしてもう一度。この笑顔がとても良い。単純に明るい笑顔なのではなく、複雑ないろんなものを飲み込んだ笑顔なのである。

幕が開きピアノの前まで歩いてきて座るシーン。見るとカメラが微妙に揺れているのである。これも亜夜の心の動きを写している。こういうところから期待感を持たせてくれる。そして、指が鍵盤に触れる直前で入ってくるのはピアノの音ではなくベースの音──そこでタイトル。こういう外し方も僕は好きだ。

音楽を扱った小説の映画化というのは難しい。『羊と鋼の森』もそうなのだが、文章で書いてあるからこそ読者の頭の中で音が響き渡るのである。それが、映画にしてしまうと、実際に耳から音が飛び込んできてしまうのだ。

この映画は、そこのところを逃げずに、ちゃんと音で勝負してきた感があって嬉しいくらいだ。音の途中から台詞をかぶせたりしてうまく逃げたところもあるにはあるのだけれど、それは飽きさせないためでもある。コンパクトにまとまって、話もすっと入ってくる。

恩田陸の作品はかなり読んでいるほうだと思うのだが、僕は『蜜蜂と遠雷』は彼女の最高傑作の部類だと思う。原作と同じく、ここではコンクールに出場する4人のピアニストを中心にストーリーが展開する。

ただ、2時間の映画にするためにどこかを削ったり省いたりするのは仕方のないことで、ここでは風間塵の描き方が一番浅い。その分、蜜蜂への触れ方が薄い、と言うか、ほとんどない。でも、そんな中で、この物語において彼が果たす不思議な触媒の働きはくっきりと描いている。

4人のうち高島明石が僕のイメージと一番遠かった。僕はもっと長身の、どちらかと言うとヌボーっとした人物を思い描いていた。ところが、彼を演じた松坂桃李が思いの外良かった。長い独白にメリハリをつけて、非常に巧い台詞回しだった。

他の男性ピアニスト2人を演じた俳優は僕にとっては知らない人だったが、新人の鈴鹿央士はもう風間塵そのもので、よくこんな人を見つけてきたと思う。

マサルを演じた森崎ウィンも原作通り爽やかな感じが良く出ていた。ジュリアード音楽院の在校生だけに、ちゃんと英語を喋れる人を起用したのも良かった。

そして、栄伝亜夜を演じた松岡茉優である。僕はこの人は 20代の女優としては飛び抜けた存在だと思っている。演技に幅があるし、いろんなインタビューを読んでも、いかに彼女が勉強を怠らないしっかりした存在であるかが伝わってくる。

この映画でも、自分が主人公だと聞いて、他の3人のピアニストもしっかり描いてほしいとリクエストしたと言う。大したものである。割合カメラを据えて長い台詞のやり取りをするシーンが多いのだが、それに見事に耐え、ちょっとした感情の動きの変化をとても上手に表していたと思う。

そして、ピアノを弾く姿のなんと凛々しいこと!

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Sunday, October 06, 2019

Play Log File on my Walkman #131

【10月6日 記】 時々気まぐれに載せている僕の Play Log。今回も10曲

  1. オトノナルホウへ→(Goose house)
  2. ブルー(渡辺真知子)
  3. 贈り物(吉田拓郎)
  4. ソバカスのある少女(ティン・パン・アレイ)
  5. 忘れないで(つじあやの)
  6. 青春のパラダイス(ちあきなおみ)
  7. 雨の日のバタフライ(佐野元春)
  8. 夜の訪問者(小川順子)
  9. きよしちゃん(矢野顕子)
  10. Destiny (シェネル)

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Friday, October 04, 2019

中国の漢字

【10月4日 記】 最近はインバウンドの増加を反映してか、日本国内でもいろいろな外国語表記を目にする。特に多いのは中国語である。

僕は中国語の知識はまるでないが、漢字というものが共通であるがゆえに知らなくてもかなり意味は解るし、意味が解るだけに表現の違いが面白い。

たとえば、これは前に他のところに書いたことだが、中国語では「手紙」がトイレットペーパーのことらしく、では、手紙のことはどう言うのかと言えば「便」だと言うから面白い。ついつい「ベン」と読んでしまうとトイレット関係かと思うのだけれど、「ビン」あるいは「たより」と読んだらなるほどと思うでしょ?

で、最近なるほどと思ったのは「手机」というのがどうやら携帯電話/スマートフォンのことらしいということ。これには大変感心した。

手帳は手のひらサイズの帳面のことだが、もはや手のひらサイズで机並みの働きをする、と言うか、手の中であらゆるデスクワークができるということか!とひとり得心していたのである。

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Tuesday, October 01, 2019

フィンランド

【10月1日 記】 フィンランドに来ている。

どこに行くと書かずに出たものだから、僕が facebook に上げた記事をヒントに、知り合いがいろいろ的外れな推理をしてくれたが、実はフィンランドである。

推理のために僕が与えたヒントは2つ:

  1. 目には青葉 山ホトトギス 驢馬に笑み
  2. 近年はメインテナンスの仕事ばかりで減る新規

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