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Saturday, July 06, 2019

映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』

【7月6日 記】 映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』を観てきた。

取引先の会社に映画通のKさんという女性がいる。Kさんは僕よりかなり年下なのだが、僕とは結構趣味が合うので、会えば必ず最近観た映画(とりわけ邦画)の話をするのだが、昨日彼女から「山戸結希は観ました?」と訊かれた。

全然知らない監督名だったので、「誰それ? 聞いたこともない」と言うと、彼女は「これから必ず“来る”人だからマークしておいたほうが良いですよ。私はあんまり好きじゃないんですけど」と言った。

で、今日 Movie Walker のサイトを見ていたら、彼女の映画が上映されているではないか。それですぐに見に行ったという次第である。

漫画が原作。自分のことそっちのけで他人の心配をし、誰にでも無防備に身を預けてしまう女子高生・初(堀未央奈)と、同じ団地に暮らす2人の幼馴染、とても勉強ができる亮輝(清水尋也)と雑誌モデルで同級生の梓(板垣瑞生)の三角関係、いや、初の兄・凌(間宮祥太朗)や妹・茜(桜田ひより)も絡んだ、もうちょっと複雑な話。

ともかく画の作り込みが凄い。ああ、これが評判になっているのか、と思う。

15秒CM並みにカットがクルクル変わる。短いものは1秒未満。それがひとつの台詞の間に何枚もチェンジする。これはまるで PV である。

かと思うとゆりかもめの駅での長い長いワンカット・ワンシーン。でも、どっしりとカメラを据えた画ではなく、ハンディカメラが忙しく動く。会話する2人を交互に追ってパンしまくったりするものだから結構疲れる。

他にも同じ場面を2つのカメラで違うアングルで収めてそれを左右つないで1枚の画にしたり、逆光でシルエットにしたり、鏡やステンレスに映った像を映したり、もう、ありとあらゆる技法がこれでもかと押し寄せてくる。

うん、とても素晴らしい感覚を持った才能溢れる監督だとは思うが、僕はあまり好きにはなれない。ストーリーや演技のせいもあるけれど、こういうカット割りのせいもあって、物語は“作りもの感”が溢れている。

そもそもこんな作り方したらしんどいでしょ? きみは今後もずっとこういう映画作るの? と言いたくなる一方で、ああ、こういうことを生真面目に積み重ねて行く監督だからこそ、こういう題材でこういう映画が出来上がるのか、と納得してしまう面もある。パンフのインタビューを読んでもかなり論理的である。

で、そんなことを思いながら観ていたのだが、終盤の夜の海岸沿いの公園で最初は初が逃げ亮輝が追いかけ、すぐに逆になるシーンの畳み掛けは本当に見事で度肝を抜かれた。台詞の重ね方、音としての言葉の重ね方、映像の繋ぎ方、音楽のあしらい方。

──どれをとっても誰にも真似できない映像芸術で、最初はわざとらしかったドラマが最後は若者たちの苦悩を如実に体現するものに変わってきた。この苦悩は多分この監督の中にあったものなのだ。そして、それがこんなポップな映像になって画面から押し寄せてきたのだ。

ああ、なるほど、これは好き嫌いは別として、絶対にマークしておかなければいけない存在だ。Kさん、どうもありがとう。

ただ、土曜の夜の何百人も入る大劇場に観客が10名程度というのはまことに惜しい気がしたが…。

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