『文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る』松原隆彦(書評)
【6月6日 記】 読んで愕然とした。僕が中高で習った化学や物理学の知識の一部は今では全然通用しないのだと知ったから。
分子は原子からできており、原子の中には原子核と電子があり、原子核は陽子と中性子に分解されるが、もうそれ以上細かく分割することはできない、と確か習った。
ところが、今ではそれらの粒はクォークと呼ばれるさらに小さい粒に分解できることが判っているのだそうな。アップクォーク2つとダウンクォーク1つで陽子、アップクォーク1つとダウンクォーク2つで中性子になるとのこと。全ての物質はクォークと電子でできているとのこと。
──何それ!? いつからそんなもんあるんですか!? 誰も教えてくれなかったよ。
それから、原子の中で、原子核の周りを電子がクルクル回っていると確か教わったけど、それも今では違うと考えられているとのこと。
──え? そうなんですか!? 教科書や参考書で何度も目にしたあの図解は間違い?
昔の人は地球が丸いことも地球が太陽の周りを回っていることも知らなかったんだよな、と他人事みたいに言ってたけど、それってまるで今の僕のことじゃないですか!
でも、落ち着いて考えると、結局のところ、「ああ、良かった。この本を読んで」というのがまことに素直な感想。
そう、それ以外にも、今まで聞いたこともなかったこと、時々考えるんだけどずっと解らなかったこと、おう、そういうことかと膝を打ちたくなる知識がこの本には満載なのだ。
夕陽は何故赤いのか、火傷は物理学的にはどういう現象なのか、アインシュタインの一般相対性理論とはどんな理論なのか、光は波でもあり粒でもあるってどういうことか、宇宙はどうやって始まったのか、等々。
タイトルに偽りなく、文系でもほんとによく分かる。いや、完全に理解できるというのではない。そもそも完全に理解するための理論を学んでいないのが文系なんだから。
要するに、文系だと理解できないような細かいことには立ち入らずに、文系にも分かる表現で書いてあるということ。
分かったようで解らない部分が残るのは確か。でも、そこが面白いところではないかな、あなたが文系であろうと理系であろうと。
この本はそんな面白さを教えてくれる本である。
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