« 映画『町田くんの世界』 | Main | Play Log File on my Walkman #129 »

Sunday, June 09, 2019

映画『長いお別れ』

【6月9日 記】 映画『長いお別れ』を観てきた。

途中まで少し退屈した。なんと言うか映画の作りが古い気がした。でも、ひょっとしたら今回の作品が老人の認知症を描いたものだからそう感じただけで、実は『湯を沸かすほどの熱い愛』のときからそうだったのかもしれない。中野量太はとりたてて斬新な何かを押し出してくる監督ではない。

退屈したのは僕の母が認知症だからかもしれない。映画の中で「7年か、それは長いね」という台詞があったが、僕の母は発症してからもう7年どころではない。ほぼその倍だ。おまけに何年か前から妻の母も同じ病気になっている。

そういう環境にいるから、逆に、何て言うんだろう、ひがみ? 近親憎悪? 偽悪? うまい言葉が見つからないけど、ともかく、なんかそんな複雑な感情から共感できないのかもしれない。

原作小説が実話に基づくものだし、映画のほうも認知症を決して誇張したり作ったりした描き方はしていないのだが、今イチ乗り切れない。何と言うか、もっと可笑しくて(普段は「おかしい」にこんな漢字を宛てたりしないのだが、ここではこの表記がぴったりだと思うのでこれにした)、哀しくて、そして大変なのである。

ところが終盤になってくると、やっぱりこの監督は巧い。前半で撒いた種を順番に刈り取って、収まるところに話を収めてくる。

認知症老人を演じた山﨑努よりも、次女役で、この年代の女優では一目置かれている感のある蒼井優よりも、僕は、アメリカ在住の長女を演じた竹内結子と、夫の認知症を前にして全くいらつくことのない妻を演じた松原智恵子が印象に残った。

竹内結子と夫・北村有起哉、そして息子(年代ごとに蒲田優惟人と杉田雷麟の2人が演じた)の3人の関係性が面白い。終わりのほうの玄関先での夫婦の会話を長回しで収めたシーンなどは絶妙と言うべきである。

そして、認知症の人と一番近いところにいる人が一番疲弊するのであるが、全くそういう様子を見せないこの妻はすごいし、それは長年培ってきた夫婦の時間の積み重ねによるものだろうが、それにしてもそうそうあることではない。

にもかかわらず、松原が演じている老妻に全く不自然なところがないのは脚本と演出と役者の三位一体となったものだろう。

監督は原作の3姉妹を2人に減らし、何人か出てくる孫を1人に絞ったのだそうだ。この整理は非常にうまく行ったと思う。

周囲で僕よりも明らかに上の世代の人たちが爆笑していた。僕はそれほど笑わなかったが、まあ良い映画であったとは思っている。

|

« 映画『町田くんの世界』 | Main | Play Log File on my Walkman #129 »

Comments

お久しぶりです。名古屋から仙台にとばされたMです。

「妻を演じた奴原智恵子が印象に残った。」

残念ながら、一文字間違ってましたね。最近、間違い探しが楽しみないやな性格になってきました。

Posted by: 仙台のM | Monday, June 10, 2019 09:13

> 仙台のMさん

ありゃ? なんでそうなったかよく分からん誤字ですねw
ご指摘ありがとうございました。訂正しました。

Posted by: yama_eigh | Monday, June 10, 2019 09:40

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 映画『町田くんの世界』 | Main | Play Log File on my Walkman #129 »