オーバーナイターが越えてきた夜
【5月16日 記】 オーバーナイターというものを使っている。商品名ではなく一般名称だと思うのだが、英語の辞書を引くと「一泊旅行」という訳語しか載っていないから、ひょっとすると和製英語なのかもしれない。
何のことはない、形状としてはただの蓋のない箱である。蓋があるタイプの商品もないではないが、蓋があるとそこに入れられる物の高さが制限されるから、蓋がないほうが一般的だと思う。
用途は物を入れておく。財布とか定期券とか名刺入れとか会社の IDカードとか家の鍵とか。会社から(いや、会社でなくても単に外出先から)帰ってきたら、それらのものをポンとその箱の中に戻す。
そして一夜明けたらまたそれらの物を取って会社に行く。翌日が休みなら名刺入れは要らない。電車に乗らないなら定期券も要らないだろう。要るものだけを持ち出して、帰宅したらまたそこに置く。そして一夜明けたらまた取り出す。
まさに一夜を明かすためだけの箱なので、オーバーナイターとは上手いネーミングだと思う。
そのオーバーナイターが、ふと気づくと、いたるところが擦り切れてボロボロになっているのである。
このオーバーナイターを僕はもう何十年も使っている。ちなみにこれが2代目である。買ったのではなくて何かのポイントをこの商品に交換したと記憶している。
で、そんなに長く使っているのであれば擦り切れて当たり前ではないかと言うかもしれないが、僕にはそれでも不思議なのである。
毎晩ポンと置いて翌朝サッと取るだけである。ゴシゴシしているわけではない。もちろん、息をこらえてそっと置いているわけではないので多少はこすれるだろう。でも、それが年月を経るとこんなことになるとは…。
硬いとは言え紙製である。内側の底には薄い布が貼ってある。もちろん手に入れた当初は全面がきれいな茶色だった。それが写真のように白く剥げまくっている。
毎日少しずつ傷んだのだろう。毎日目に見えないくらい少しずつ。それがいつから目に見えるようになったのだろう。そこが不思議だ。
もちろん僕もボロボロになっていることに今日急に気づいたわけではない。何年か前から傷んでおり、昔ほどきれいでなくなっていることは知っている。
でも、人は物が少しずつ傷んでいくことに少しづく気づくことはできない。
少しがだいぶ溜まってから急に気づくのである。そこに人の認知のはかなさを思い知った気がする。僕も年なのかもしれないが(笑)
Comments
Overnighterは英和辞典に載っています。「一泊旅行者」と「小旅行用カバン」の意味です。
Posted by: hikomal | Saturday, May 18, 2019 19:50
> hikomal さん
あ、載ってましたか。そりゃどうも。
と言うか、辞書に載っていないとは書いてないですよ。
ま、そんなこたぁ別にどっちでも良いんですけどねw
Posted by: yama_eigh | Saturday, May 18, 2019 21:32