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Sunday, May 12, 2019

映画『轢き逃げ 最高の最悪な日』

【5月12日 記】 映画『轢き逃げ 最高の最悪な日』を観てきた。

僕の映画の見方は「今日は暇があるから映画でも観ようかな。今何やってるんだろう?」という感じではなく、基本的に上映の何ヶ月も前からマークしておいたものを順番に観て行く形である。でも、今回は珍しく前者。水谷豊の監督第2作なんだそうな。脚本も水谷豊が書いている。

で、結論を先に書くと、筋の運び方に少しく冗漫な印象があったものの、意外に良かった。

何よりも良い画が撮れていると思った。撮影監督は会田正裕という人。名前に記憶はなかったのだが、主に劇場版の『相棒』を撮ってきた人のようだ。

冒頭の長く途切れのない空撮からして却々気を逸らせない。主人公が人をはねるシーン(及びその前後)のいろんな構図とか、死んだ娘の遺影の前で夫に語りかける檀ふみのアップとか、港が見えるカフェのカメラワークとか、とても綺麗で印象的な画が多かった。

水谷監督は、その画作りに合わせるように、(自分自身を含めて)役者には少し長めのカットでじっくり芝居をさせている。

轢き逃げしたあとの追い詰められた心境を描くのがメインではなく、むしろ犯人が逮捕されてから、轢かれた娘の父親である水谷豊の行動がメインの映画なのに、その割には前半が少し重すぎやしないか、と思いながら観ていたのだが、まあ、その後の展開を見ると最初でしっかり描いておきたかった気持ちも分かる。

ストーリー上のある種のどんでん返しみたいな部分は、残念なことに僕は割と早く察しがついてしまったが、そのことによって特に面白さが削がれたわけではない。

構成として、なんかいろんな金属が溶接されたようなイメージの映画だったが、台詞も含めてよく練られ、よく考察され、よく演じられたドラマだった。

周りに水谷豊、檀ふみ、岸部一徳ら、既に名のある役者を配し、中心となる3人の人物は中山麻聖、石田法嗣、小林涼子というどちらかというと無名の俳優が演じていたが、この中では特に小林涼子が飛び抜けて良かった。この映画は小林涼子の映画だったと言っても決して過言ではない。

映画を見ながらずっとこれは誰だったかと考えていたのだが、エンドロールで名前を確かめても、小林涼子という名前に記憶はあるものの、何に出ていたか俄に思い出せなかった。終わってから調べてみると、ああ、そうか、飯塚健監督の『大人ドロップ』に出ていた女優だった。読み返してみると、あの映画のレビューでも僕は彼女を激賞している。

いずれにしても、ちょっと独特という見方もできるが、却々よくできた映画だった。多分これが監督・水谷豊の個性なのだろう。観て良かったと思う。

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