縦に並ぶ
【5月11日 記】 大阪に行ってきたのだが、とある駅で変なものを見た。この椅子の向きは何なんだろう。
確かにお一人様には良いかもしれない。ベンチだと隣に座ったおっさんにスマホの画面を覗き込まれるかもしれない。この向きだと何をするにせよ集中できる。前後もそこそこ広くて、足を投げ出しても怒られない。
しかし、この写真のずっと先のほうに老夫婦(らしきカップル)が座っていたのだが、奥さんのほうが前の席から後ろに体をよじって窮屈そうに会話していた。2人連れ以上のお客さんにはまことに不便ではないか。
ま、もちろんどんなものにもメリットとデメリットがあるものだが、どういう観点からどんなメリットを求めてこういう発想が出てきたのか見当がつかない。
それで Instagram に投稿してみんなに訊いてみたのだが、なんと「椅子に座っている酔っぱらいが、勢いよく歩きだしてホームに転落するかららしいです。これだと、慌てても前の椅子にぶつかるだけなので」と教えてくれた人がいる。
うーん、びっくり。下戸の僕には酔っぱらいの行動が読み切れていなかった。酔っ払いは椅子から立ち上がったら、位置関係の如何にかかわらずとにかく前方に歩き出すのか!
そう言えば、これは前にも書いたことだが、最近どんどん整備が進んでいるホームドアのメリットについても僕は理解できていなかった。
ただでさえ車両のドアに挟まれる人がいるのに、ホームドアなんぞを設置すると今度はきっとホームドアに挟まれる人が出てきてリスクは2倍になる。いや、それどころかドアが閉まってまさに発車寸前の車両と閉じてしまったホームドアの隙間に挟まれる人まで出てきてリスクはもっと高くなるのではないかと思ったのだ。
でも、これの一番の目的は目の不自由な人が線路に転落するのを防ぐためだと聞いてなるほどと納得した。僕は目の不自由な人たちのことをよく分かっていなかった。
いや、多分目の不自由な人だけではなく、酔っぱらいも線路に転落していたのだろう。僕はやっぱり酔っぱらいのことをよく分かっていなかった。
しかし、それにしても、この椅子の全てに酔っ払いが縦に並んで座っている図は壮観だろうなと思う。
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