« 新カテゴリ | Main | 『ハロー・ワールド』藤井太洋(書評) »

Wednesday, April 03, 2019

『ブロックチェーン』岡嶋裕史(書評)

【4月3日 記】 昨今注目度が高まっているネット上の新技術“ブロックチェーン”の解説書なのだが、あまりに解りやすくて驚いた。前に読んだブロックチェーンの本を棄てたくなったくらいだ。

いや、解りやすいと言っても、モノがモノだけに、幼児向けの絵本を読むように頭に入ってくるものではなく、少なくとも高校の教科書よりは難しいと考えておいたほうが良いだろう。でも、その難しい概念を極力分かりやすくとっつきやすい方法で解説してあるのは確かである。

僕なりにこの本の長所を並べると、

  1. 図表が多い。しかも、概念を説明する抽象的な図表ではなく、データの流れを単純明快に示したものや、コンピュータの現実のアウトプット画面であったりするところが素晴らしい UI/UX になっている。
  2. ビットコインに特化した、あるいは寄りすぎた説明にならず、ブロックチェーンの汎用性を踏まえた一般的な説明になっている。しかし、その一方で、実際の運用の解説としては一貫して“送金”を例に採って進めており、非常に理解しやすい。
  3. いきなりブロックチェーン技術の使用例を説明するのではなく、第1章でブロックチェーンの歴史と技術のコア部分をなぞった上で、その後は暫くハッシュや暗号、デジタル証明書などについての解説を重ね、その上で漸くブロックチェーンの構造に入って行く構成が素晴らしい。この順序で語られることによって理解が容易になる。
  4. 最後の章でブロックチェーンの課題を語ることによって、この著書全体が非常にフェアなものになっている。かつ、そういう構成になっているが故に、逆に地に足の着いた期待感を持たせてくれるのも確かである。

この本で初めてブロックチェーンを勉強した人は「結構難しい」と思うかもしれない。しかし、嘘だと思うなら他の本を読んでみると良い。これほど分かりやすく書かれたものはそうそうないのではないかと思う。

副題が素敵ではないか──「相互不信が実現する新しいセキュリティ」。この副題が、ブロックチェーンの斬新さと脆弱性の両方をいっぺんに語っている。この本はつまり、そんな風に真髄を見抜いた著者による解説書なのである。

|

« 新カテゴリ | Main | 『ハロー・ワールド』藤井太洋(書評) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 新カテゴリ | Main | 『ハロー・ワールド』藤井太洋(書評) »