『空母いぶき』マスコミ試写会
【3月25日 記】 映画『空母いぶき』のマスコミ試写会に行ってきた。今ちょっと興奮が醒めやらない。
えらいもんを観てしまった。と言うか、えらいもんを作ったもんだと。
タイトルから判るように自衛隊の話だ。原作はかわぐちかいじの同名のコミックだ。時代は近い未来と想定されている。
サヨクの人は嫌悪感を覚えるかもしれない。いや、ウヨクの人の中にも不満を感じる人もいるのだろう。でも、これはサヨクにもウヨクにもノンポリにも観てほしい。観て感じて考えてほしい。いや、否が応でも考えてしまう。考えさせられてしまう。
そういう映画だ。
「東亜連邦」という新興国家の戦闘機に自衛隊の偵察機が攻撃され、日本固有の領土・初島が占領されてしまう。
戦後初の航空機搭載型護衛艦《いぶき》を旗艦とする第5護衛隊群が現地に派遣される。
どこまでも敵対的で強硬な態度で攻めてくる東亜連邦に対して、ついに「防衛出動」命令が下される。
ドラマはタカ派の艦長・秋津(西島秀俊)とハト派の副長・新波(佐々木蔵之介)、主戦派の外務大臣・城山(中村育二)と慎重な総理大臣・垂水(佐藤浩市)という分かりやすい構図で始まるが、そんな単純な図式で最後まで描ける代物ではない。
そこからのうねり方がすごいのである。憲法の規定があり、個々人の心に葛藤があり、躊躇が許されない現場での戦闘と戦闘回避がある。
そこに乗り合わせた記者2人(小倉久寛、本田翼)や、仕事に没頭して初島で何が起こっているのか全く知らない脳天気なコンビニ店長(中井貴一)らのエピソードも混ぜ込んで、本当に見応えのある展開になっている。
監督は若松節郎。今まで機会がなく観たこととがなかったのだが、感服した。脚本は伊藤和典と長谷川康夫だ。
西島秀俊と佐々木蔵之介が素晴らしい演技をした。政治的な部分を抜きにして、それだけでも素晴らしい映画だ。でも、だからと言って「面白いから見てくれ」と言う気にはならない。まずは観て考えてほしい。我々は考えなければならない。
5/24封切り。
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