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Saturday, March 30, 2019

映画『美人が婚活してみたら』

【3月30日 記】 映画『美人が婚活してみたら』を観てきた。贔屓にしている大九明子監督。そもそもは『恋するマドリ』(2007年)という素敵な映画を見つけてそれ以来応援しているのだが、一昨年の『勝手にふるえてろ』でブレイクした感がある。

ここのところはずっと女性目線で物語を作ってきた人だと思うのだが、この映画もそうだ。

小さい劇場だが1席も余らず満席の7~8割が女性客だ。田中圭と中村倫也という、このところ人気沸騰中の 30代イケメン俳優が出ており、その2人目当ての客が多いのだろうと思うが、僕は黒川芽以と臼田あさ美狙いである。

僕が“平成3大切ない男子青春映画”だと思っている『グミ・チョコレート・パイン』(2008年)、『ボーイズ オン・ザ・ラン』(2010年)、『色即ぜねれいしょん』(2009年)において、迷える男子の妄想をこっぴどく叩き壊して奈落の底に突き落とすマドンナを演じたのが、前2者では黒川芽以であり、後者では臼田あさ美だったのだ。

この2人が婚活を巡るドラマの主演と共演というのは、めちゃくちゃ趣向に富んだ組合せではないか。

タカコ(黒川芽以)は独身、32歳。つきあった男が後から既婚者だったと判る不幸が続いて、生きる気力まで失いかけている。親友のケイコ(臼田あさ美)は結婚して姑と2世帯住宅に住んでいる。タカコからは幸せな結婚生活に見えているが、夫との関係、姑との関係を乗り切るのはそれほど単純ではない。

ケイコと飲んだ帰り道にタカコは突然婚活開始を宣言して、ケイコにも背中を押される形でマッチング・サイトに登録する。

最初はとんでもない男ばかり(村杉蝉之介、市川しんぺー、レイザーラモンRG)紹介されたが、漸くたどり着いたまともそうな相手が商社マンの園木(中村倫也)だ。そして、それとは別にシングルズバーで知り合ったのが歯医者の矢田部(田中圭)である。

見るからに如何にもプレイボーイの矢田部と、いい人だけど明らかに変な人の園木の対照が面白い。そして、この2人の間でタカコの心も揺れる。

この監督の構図は女目線だ、と言うか、男では目の届かないものをいつもカメラに収めていると思う。

足許を映す。靴を脱ぐところを足許のアップで。脱いでそのままなのに揃っている男の靴。ドアから出ていく行く男。締められるマンションのドア。締まった後もカメラは暫く映している。

恐らく男の監督に撮れるのはドアだけだろう。家に帰ってきて照明をつける前にぼんやり見えるハイヒールの影、なんてとても撮れない。

寿司をつまみ、男の手に近づき、携帯を取り出す手のアップ。突然別れ話になってしまった鍋料理のシーンで、男女がよく似たストライプのシャツを着ている皮肉。

──そういうのがとても面白い。

今回の脚本はお笑いコンビ「シソンヌ」のじろう。小説やテレビドラマの脚本も手がけていると言う。しかし、この映画での女性の台詞の部分では、自ら脚本も書く大九監督がかなり手助けしたのではないかなと想像する。

黒川芽以は適役だった。独身女性の観客たちは、「あるある」と喜び、あるいはため息をつきながら映画館を後にしたのではないだろうか。

で、こういう終わり方はどうだろう? うん、最近こういう終わり方をする映画はあまりない。うーん、これでいいのかな?と最初は思ったのだが、歌というものはそれ自体に力がある。それがいつまでも心に響いて結局良いエンディングだったと思う。

大九監督、次も是非素敵な映画を撮ってほしい。

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