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Sunday, March 17, 2019

映画『君は月夜に光り輝く』

【3月17日 記】 映画『君は月夜に光り輝く』を観てきた。

僕は難病ものは大っ嫌いである。また、永野芽郁も好きではない、と言うか、別に嫌いでもないのだがどこが良いのかまるでピンと来ない。それが何で観に行ったかと言うと、月川翔監督だからだ。

僕は最初、この監督のことを見くびっていて、ずっと観ずに来たのだが、『君の膵臓をたべたい』以降、これで5本連続観ている。

で、映画を見終わってみて、永野芽郁の良さも解った。とても良い表情をする。これは良い役をもらったなあと思う。彼女にピッタリの役柄だ。そして映画の側から見ても、永野芽郁をキャスティングしたのは大成功だったと思う。

映画は渡良瀬まみず(永野芽郁)の葬式から始まる。これは潔いと思った。難病ものだから、どの道ヒロインが死んでしまうことは目に見えている。その目に見えているものに見えない振りをしながらそこにピークを持って行く作りをしていないのである。

それだけではない、まみずとつきあっていた岡田卓也(北村匠海)は姉の鳴子(松本穂香)を亡くしている。交通事故だが、自殺だったのではないかという見方もある。そんな風に思われるのは、その少し前に鳴子の彼氏も病死しているからである。

もう冒頭から死の匂いが芬々と漂っている。そう、これはお涙頂戴の難病ものと言うよりはむしろ死生観を描いたラブ・ストーリーなのである。

入院中のまみずのためにクラスメイト全員が書く寄せ書きを最後に書いたのが卓也であったために、彼はその寄せ書きをまみずの病室に届ける羽目になる。そこで彼はまみずから、病院から出られない自分が果たせなかったことを彼女に代わって順番に実現してほしいと頼まれる。

そこから2人に恋心が芽生えるというありがちな展開ではある。だが、自ら「私、余命ゼロなの」と言うまみず、死んでしまった姉、その死から立ち直れない母、死んだ姉の彼氏でもあった同級生・加山(甲斐翔真)の亡兄、しかも病名はまみずと同じ発光病──そんな環境は卓也の恋を脳天気なものにはしない。

卓也を北村匠海がいつもの沈んだトーンで好演している。彼と月川監督は『君の膵臓をたべたい』のコンビだが、実は月川監督は北村が子役の頃から PV などで起用していたらしい。北村匠海のことをよーく知っているのである。

あまりカットを割らずに、役者たちに長い芝居をじっくりと演じさせる。役者たちも見事にそれに応えている。撮影は柳田裕男。とても良い画だ。脚本は月川翔自らが書いている。これもよく行き届いて、研ぎ澄まされた台詞が多い。

病気の設定などは茶番なのだが、うん、全体としては悪くない。

監督は自身3本目となるヒロインが亡くなる作品を「僕自身はハッピー・エンドだと思って撮っている」と言う。その感じ、とても良く解る。それは浮ついたハッピー・エンドではなく、非常にトーン・コントロールの効いた静かなハッピー・エンドである。

この映画はそれほどヒットもしないだろうし、それほど高い評価も得ないだろうと思う。なにしろ為す術もなくヒロインは死んでしまうからだ。世界の中心で愛をさけぶこともなくストーリーは閉じられてしまうのだ。

でも、ここに僕は表現者としてのセンスと力量を観た気がする。良い映画だったと思う。

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