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Saturday, February 02, 2019

映画『マスカレード・ホテル』

【2月2日 記】 映画『マスカレード・ホテル』を観てきた。

毎日必死で追っかけている人なら違うのだろうが、僕みたいに久しぶりにじっくり見る者にとっては、「キムタクもさすがに老けたな」というのが予告編を観て最初の感想。

決して下手な役者ではない。いや、むしろ巧いと思う。ただ、何をやっても同じになってしまうのが木村拓哉の特徴であり、もちろんファンはそこをこそ楽しみ、愛しているのだろうが、やっぱりこの映画もどこまでもキムタクである。

何をやっても同じと書きながら一方でこんなことを書くのも変だが、毎回新しいキムタクをちょっと見せて、ちょっと「あら?」と思わせてくれるのもキムタクであり、それもこれもみんな含めてキムタクなのである。

で、映画は超一流ホテルに警視庁捜査一課が潜入捜査に入る話。原作は東野圭吾。鈴木雅之監督。

結論から書くと、とても面白かった。第一級のエンタテインメント作品だと思う。

ホテルマンと警察官という対比の構造が面白いし、群像劇としてもよくできている。

中盤までは警察が捜査している殺人事件とは直接関係のない、ホテルの客と従業員のいろいろなトラブルや事件を描いているのだが、その関係ない事象の中から新田刑事(木村拓哉)が今回の捜査に繋がるヒントを見つけて行くという構成はなかなかである。

ホテルマンに化けるための教育係がフロントクラークの山岸尚美(長澤まさみ)であり、当然違う世界の人間だから対立や嫌悪感があり、でもやがてパートナーに成熟して行くという展開は予想通りだが、そのバディに対比する形で、新田が前の捜査でバディを組んでいた所轄の能勢刑事(小日向文世)を持ってきて、2つのペアを対比するという重層構造も巧い。

そして、一流ホテルのフロントという広く高さも奥行きもあるスペース(セット)を縦横無尽に活かしたカメラワークも絶妙である。単にカメラが首を振ったり横に動いたりするだけではない。被写界深度を変え、クレーンで駆け上り、CG合成で繋ぐなど、非常に多彩で飽きさせない。

冒頭の濱田岳に始まって、高嶋政宏や生瀬勝久ら、次々やってくる一癖も二癖もありそうな宿泊客のキャストが良い。そこにホテルマンと刑事の経験/ノウハウが化学反応を起こしてトラブルを回避して行くという展開も秀逸だし、前田敦子と勝地涼をあんな形で共演させるというのも非常に遊び心に富んでいて面白かった。

長澤まさみも非常に巧い女優だと僕は思うが、何よりもキムタクとの相性が非常に良かったと思う。

事件の真相は非常にゴテゴテとして分かりにくいものだったが、そもそも僕は謎解きにあまり興味がないので、それはどうでも良い。

東野圭吾は2作か3作か読んでほとほと嫌気が差して2度と読まない作家なのだが、この映画を観ていて、ああ、そういうことか、と思った。そもそも僕は小説にあまりエンタテインメント性を求めていない。だから評価すべき点が少ないのだ。

エンタテインメントという意味で、話の作りはよくできている。そして、脚本もよくまとまっていた。岡田道尚(みちたか)という名前を憶えておこうと思う。

最後に2つだけネガティブなことを書いておくと、まずひとつは、人間の声に対する記憶というのもバカにならないもので、(ネタバレになるので詳しく書かないが)あれはひと声聞いただけで誰だか分かってしまう。そこが分かってしまうとその先の想像がついたりしてしまうところが少し残念だった。

それから、僕の感覚としては、あのエピローグは蛇足だと思う。観客はそれほど鈍くはない。あんなくどい終わり方にしなくても、しっかりと感じ、しっかりと読み取ってくれているはずだ。もっと観客を信じてほしい。

ま、いずれにしても楽しかった。しかし、それにしても明石家さんまは一体どこに出ていたのだろう?

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