驚いた粒
【1月19日 記】 twitter で相次いで以下のようなツイートを見た。
ひとつは高名な政治評論家に宛てたもの:
偉そうに自民党批判しているが、自民党の独裁政権を許したのはあんたたちの世代なんだからあんたたちも同罪だ。あんたに自民党を批判する権利はない。
みたいなつぶやき。もうひとつは誰に向けてのつぶやきかは分からないのだが、
最近の若い奴らはダメだみたいなことを言ってる人がいるけど、その若い人を育てて指導してきたのはあなたたちの世代なんだから、あなたにそんなことを言う資格はない。
みたいなやつ。
これはマズいと思う。この人たちの論理性は一体いつ、何ゆえに、こんなに破綻してしてしまったのだろう?
両方とも最初はターゲットを個人に向けている。ところがいつの間にかその個人が所属している団体(今回の場合は両方とも「世代」という団体)の批判へと矛先が変わっており、それを根拠にその団体(世代)に属する個人を十把一絡げに一刀両断にしようとするものだ。
いや、世代みたいな大きなグループで括ってしまっているので十把一絡げどころではない。百万十把一絡げぐらいである。
そんな論理が罷り通ると誰も何も言えなくなる。
戦争反対と言うと、「お前もその戦争がなくならない世界の一員なんだから、責任の一端はある。他人事みたいに戦争反対なんて言う資格はない」と反駁されるようなものなのだから。
もしそういう論理が罷り通るとすれば、それは
「最近の若い奴らはダメだ。それは世間のせいだ」みたいなことをあなたは言ってるけど、あなたが育てて指導してきた弟子たちはどうなのか? こう言っては悪いが、相当ひどい奴らばっかりではないか。自分の弟子もちゃんと育てられない人間がそんなことを言っても全く説得力がない。あなたにそんなことを言う資格はないのだ。
と、最後まで批判の対象が一貫して同じ特定の個人でなければならない。途中でその個人が含まれるグループに拡大してしまうと、どんな論理破綻した批判だって可能になってしまう。
僕は自分の世代全員の責任は取れないし、全男性を代表することもできないし、自分が意志を持って加入したわけでもないグループをひとりで背負うことはできない。
もちろん自分の関係している団体が批判を浴びるようなことがあれば、他人事みたいな物言いをしてはいけない。でも、自分の所属する団体がこれではいけないと思って真摯に声を上げている人に対して「お前も同罪だ」と言うのは筋の通らないことではないだろうか?
どうしてそういう理屈が分からない人が増えてきてしまったのだろう? 恐ろしくて仕方がない。
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