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Wednesday, January 02, 2019

映画『シシリアン・ゴースト・ストーリー』

【1月2日 記】 映画『シシリアン・ゴースト・ストーリー』を観てきた。伊=仏=スイスの合作で、舞台及び言語はイタリア(シチリア)。

たまに日本や米国を離れて欧州やアジアの映画も観てみるものである。上手く言えないけれど、表現の文法がまるで違うのだ。

日本の大手映画会社作品やハリウッドの映画を見る感覚で観てしまうと、この映画はすこぶる解りづらい。

ルナは日本で言うなら中学1年生。夢見がちだけれど、とても芯の強い女の子だ。そのルナがクラスメイトのジュゼッペに夢中になっている。

ジュゼッペは13歳のくせにバイクに乗るし、乗馬も相当巧い。カバンの中にはドラゴンボールのフィギュアが入っていて、意地悪なことも言うけれど気持ちの良い男の子。でも、ルナの母はあの一家と関わっては行けないと言う。

で、映画のタイトルがゴースト・ストーリーだから、このジュゼッペはひょっとしたらもう死んでいるのかなと思って観ていたら、どうやらそうではない。でも、時々混じる非現実的な展開は、どこからがルナの夢や妄想でどこからがそうでないのかが不分明で却々理解がついて行かない。

そのジュゼッペが、ルナと会った直後に失踪する。ジュゼッペの両親も学校の先生も、大人たちは言葉を濁して何があったのかを語ろうとしない。

映画の最後の字幕で、この映画はシチリアで13歳の少年がマフィアに誘拐されて 779日間監禁された挙句に絞殺され遺体を酸で溶かされて池に棄てられたという、実際にあった事件にインスパイアされて作られたものだと知った。殺された少年の父親もマフィアの関係者で、彼が警察に密告しようとしていることを掴んだ元の仲間が、それを断念させるために息子を誘拐したのだそうだ。

せめてストーリーについてそれくらいの予備知識を持って観るべきだった。そうすれば随分解りやすかったと思う。

ただ、この映画では、ルナの視点で描かれているシーンでは、一体どの時点でジュゼッペが死んでいるのかは定かに分からないし、ジュゼッペの視点で描かれているシーンでは、それがジュゼッペの客観的な真実なのか、ルナが見た幻影あるいは予知夢なのかもよく分からない。

そんな描き方がこの映画のミソだと思う。

この映画は残虐極まりない実話に材を求めながら、犯罪映画という形にはしていない。むしろ思春期の2人を瑞々しく描いた恋愛映画である。そう、シシリアン・ゴースト・ストーリーと言うよりもシシリアン・ラブ・ストーリー、いや、もっと正確にてんこ盛りに言えば、シシリアン・マフィア、ゴースト&ラブ・ストーリーである。

何も知らないで見たために、初めはとにかく解りにくくてやや閉口していたのだが、でも、画作りがとても美しくて、そこに目を奪われ、「これは言わば詩なのだから仕方がない。理解するよりも感じるしかないのだ」と思い直したころから、どんどん画面に惹き込まれて行った。

ルナの登場のシーンで、彼女のミニスカートと、そこから伸びる足のショットから入ったのがまるで若さを象徴するようだった。そのあと頻繁に出てくる水と森のイメージの畳み掛けも、静かながら強い印象が残った。

映画初出演でルナを演じたユリア・イェドリゴウスカが素晴らしかった。痛々しいけれど不思議にどこかファンタジーであり、見事な映像詩だった。

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