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Saturday, December 22, 2018

映画『小河ドラマ 龍馬がくる』

【12月22日 記】 映画『小河ドラマ 龍馬がくる』を観てきた。

タイトルは『竜馬がゆく』のパロディになっているが、ストーリーはそうではない。龍馬が現代にタイムスリップしてくる話で、序盤はコメディと言うよりむしろコントである。

武田鉄矢本人の役で武田鉄矢が出ている。彼が若い頃から坂本龍馬に傾倒していたのはとても有名な話で、当然この役は彼にしかできないし、この映画は武田鉄矢の主演でなければ撮れない。

話は逸れるが、武田鉄矢が若い頃に『クイズダービー』に出演したことがあった。当時、司会の大橋巨泉は、武田鉄矢が坂本龍馬をそれほど尊敬しているとは知らなかったらしい。よりにもよって、最後の問題は坂本龍馬の「短刀・拳銃・万国公法」伝説に関するものであった(長くなるのでここには書かない。ググられたし)。

その時、大橋巨泉は「風貌が何となく坂本龍馬に似ている武田鉄矢さんは」などと言いながら、はらたいらや竹下景子より遥かに高い倍率を提示したので、僕は驚いたのである。テレビを見ながら「武田鉄矢さんに全部」とひとりごちたほどである。

結局、「本」というような回答も確か正解扱いされたと思うのだが、正確に「万国公法」と書いたのは武田鉄矢ただひとりだった。それほどの龍馬フリークなのである。

このドラマでは、武田鉄矢自身が「自分も年なので恐らくこれが人生最後になるだろう」と思っている龍馬役が回ってきた。福山雅治が NHK の『龍馬伝』で坂本龍馬を演じた時、武田鉄矢は勝海舟役で出演しているのだが、「ほんとはあの時も俺が龍馬をやりたかったんだよなあ」などという台詞が用意されている。

つまり、史実だけではなく、芸能人武田鉄矢のリアル・ライフも踏まえてあって、そこが面白いのである。

そのスタジオ控室に突然坂本龍馬(三宅弘城)がタイムスリップしてくる。最初は頭のおかしいエキストラかと思ったのだが、どうも本物らしいと気づいた武田鉄矢は、龍馬に本当のところはどうだったのかを聞いて役作りに活かそうとする。

ところが、この龍馬、見た目がなんとなくちゃらんぽらんなだけではなく、歴史上彼が成し遂げたことになっている偉業も吐いたとされる名言も、「そんなことやっちょらんきに」「そんなこと言うちょらんきに」と全否定。

で、彼が言うとおりの龍馬像に書き換えてドラマを作ったら、無理やり20代の龍馬を演じた武田鉄矢は不評だが、間抜けな龍馬のドラマはネットでバズって人気番組になる。

しかも、龍馬は現代に対する順応性だけはやたらと高くて、コンビニでバイトはするわ、バイト仲間と合コンはするわ、Tik Tok に動画は上げるわ(しかも、BGM は『母に捧げるバラード』)、挙句の果てに、武田鉄矢のマネージャーの名刺を作って撮影現場に現れて、いつの間にやら人気者になる。

最初はほんとにワン・シチュエーションのコントだったのが、発想が豊かで、話のひねり具合がよくできているので、観ていてだんだん面白くなってくる。

その後、桂小五郎やら勝海舟らもタイムスリップしてくる。彼らはそれぞれ、当時は「魂を取られるかもしれない」と思われていた写真撮影をした瞬間に現代に飛んだという設定なのだが、写真嫌いで有名だった西郷隆盛の代わりに弟の信吾(従道)が現れる辺りが、変なところで史実を踏まえていておかしい。

これはかなりセンスの良いコメディだった。随分演劇っぽいなあと思っていたら、案の定、監督・共同脚本の細川徹はコントにこだわった劇団を主催してきた人だそうな。と言うか、監督作品である『オケ老人』を僕は観ていた。ああ、あの人だったのか。

バカバカしくて面白い。単なるギャグの連発ではなく、ちゃーんとドラマにもなっている。拾い物の映画だった。

他に武田鉄矢のマネージャー役で稲葉友が、お馬鹿なアイドル女優・箭内夢菜役で箭内夢菜本人が、軽薄なプロデューサー役でかつて金八シリーズで武田鉄矢と共演していた山崎銀之丞が、そして、西郷隆盛役で皆川猿時が出演している。

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