映画『ボヘミアン・ラプソディ』
【11月23日 記】 映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観てきた。
彼らの曲の中には好きな作品もあるが、Queen というバンド自体に対しては、僕はそれほどの思い入れがない(あの時代にふさわしい、ものすごく分かりやすい表現をすると、アルバムは1枚も持っていない)。
70年代、80年台というのは様々な音楽が花開いた時代で、僕がその20年間で熱中したのは T.Rex, よしだたくろう、Yes, ムーンライダーズ、 Cyndi Lauper, 佐野元春らだった。
こうやって並べると何の脈略もないので、そこに Queen が入っていても不思議はないのだが、彼らのデビュー以来の曲構成とコーラスワークの絶妙さが、却って当時中高生の僕に「あれはロックではない」と断罪させてしまった面は否めない。
だから、この映画も当初観る気はなくて、むしろ同時期に公開される『エリック・クラプトン』を心待ちにしていたのだが、みんながあまりにこの映画を褒めるものだから『エリック・クラプトン』に先立って観ることにした。
見終わって、と言うか、見始めてすぐに思ったのだが、この映画は完全にカメラワークの勝利だと思う。主に細かいカットを繋いで行く手法なのだが、アングルが非常に多彩だし、カメラに収める対象の選択が的確で、画は美しく、演奏シーンは非常にビビッドである。
斜に構えた中高生が少し避けてきたサウンドも、今日改めて聴くと却々ロックではないか(笑) 勝手にフレディのワンマンバンドであるかのように思っていたが、他の3人のセンスと力量を改めて思い知らされた気がして、なんだか幸せな気分である。
卓越したカメラワーク以外に、もちろん、歌と演奏の素晴らしさもある。これはちょっとやそっとの練習ではなかっただろうと思う。全部彼らが演奏しているように見えるではないか。
残念ながら僕はフレディ・マーキュリーにあまり感情移入できなかった。その分、ブライアン・メイとロジャー・テイラー、そしてフレディの婚約者であったメアリーの側から映画を観ていた。
この3人を演じたグウィリム・リー、ベン・ハーディ、ルーシー・ボイントンが本当に素晴らしかった。そして、Queen にそれほどの思い入れがなかった僕でさえ、LIVE AID のシーンは胸にズシンっと響いた。やっぱり同じ時代を生きてきたからね。
ブライアンとロジャーが Exective Music Producers として映画作り全体に関与した成果がしっかりと表に現れた映画だった。
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