ハイヒール
【11月6日 記】 この歳になって突然気づくことがある。一昨日会社のビルの入り口の階段を上っていて気がついた。
前を歩いている女性のハイヒールのヒール部分が宙に浮いているのである。階段の段に足の前半分しか載っていないから、必然的にかかとの下には段がない。
他の靴と違ってハイヒールの場合はそもそも真ん中が浮いていてつま先とかかとしか地についていないので、それでこういう歩き方をすると、つまりはつま先だけで全体重を支えることになる。
しかも、たまたま一歩だけそうなったのではなく、どの歩みのときにもそうなのだ。
それは危ないぞ、と思う。もしも前からドンと押されたら、かかとで踏ん張れないわけだから、もんどり打って転げ落ち、大怪我をするだろう。
ところが、昨日同じ階段を上っていてまた気づいた。昨日見た女性だけではない。全員とまでは言わないが、大多数の女性が同じ上り方をしているのだ。
そうか。かかとを地につけながら階段を上がることを心懸けると、段の奥行きがかなり広い場合は別だが、そうでない場合は結構思い切って足を奥まで運ぶ必要がある。もし失敗すると、自分はかかとが地についているつもりでも実は宙に浮いていたりして、そのほうがよっぽど危ない。
むしろ端から足の前半分しか使わないぞと意識して上ったほうが安全なのだ。
なるほど、そう考えて、ふと自分の上がり方に注意してみると、なんと、ハイヒールを履いた女性だけではない。自分も同じようにかかとはつけずに足の前半だけで上っているではないか!
そうなのか! そんなことに全く気づいていなかった!
ちなみに家に帰って妻に確かめてみると、妻も同じ上り方をしていると言う。
しかし、妻によると、年を取ってくるとつま先だけで上るのは段々きつくなる(自分は大丈夫だけど)とのこと。自分は大丈夫というのは、私はまだそんなに年取っていないという意味ではなくて、最近ハイヒールを履かなくなったので、との意味らしい。
なんであれ、こんな歳になって突然気づくことがある。ちなみにハイヒールを履いたことはないし、履いてみたいとも思わない。
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