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Thursday, October 18, 2018

映画『止められるか、俺たちを』

【10月18日 記】 映画『止められるか、俺たちを』を観てきた。

僕は若松孝二の映画を観たことがない。映画観で観たことがないだけではなく、多分テレビやビデオでも1本も観たことがない。時代がずれていたのだ。

若松孝二が映画を撮り始めて少し名前が売れてきたころは、まだ僕らは親に連れられてという形でしか映画館には行けなかった。友だち同士で映画館に行けるようになっても、まだ若松孝二に興味を持つには早すぎたし、だいいち成人指定だと入れなかった。

そうこうするうちに、若松孝二は連合赤軍に肩入れする危険人物だというイメージが僕の中に染み付いた。あの時代、僕らは親からも先生からもテレビからもそういう教育を受けていたから仕方がない。

もう少し長じて、ひとりでアングラな邦画を観るようになって、若松孝二には実は結構大勢のファンがいることを知ったが、他の数多くの監督の作品を見るのに忙しくて若松孝二にまで手が回らなかったし、それよりもすでに最初に僕に染み付いたイメージを払拭することはできなかった。

そんなわけで僕は若松孝二を未見のままこの映画を観た。だから、この文章は若松孝二の作品には全く触れることもなく、若松孝二自身にもほとんど触れることもなく書くことになる。この映画の評としては邪道である。

でも、若松孝二を全く知らない者が観てどうだったかと言うと非常に面白かった。若松孝二を全く知らない者がどう評価したかと言うと、とても良い作品だと思った。

映画が始まると、ちょっと訛り気味でえらくハイテンションな、今までに見たことがない井浦新がいた。「モノマネはしない」と言いながら、きっとこれは若松孝二を再現しているのだろうなと思った。それが似ているかどうかは知らない。ただ、すごい存在感だ。

井浦新だけではない。画面の中で全ての人物が生きている感じがする。

白石和彌監督、井浦新ら、手垢のついた言葉だが若松孝二の薫陶を受けた人たちの、これまた手垢のついた言葉だが鎮魂が込められているのだろう。

そんな中で僕は、若松を知らずに大事な助監督の役を演じた門脇麦のような心持ちでこの映画に加わった。そう、観たと言うより参加した気になる。怪しい人たちのチームに参加してしまった、みたいな感じ。

この役は架空の人物かと思ったら、本当に助監督をしていて自殺した人なんですね。

あと、荒井晴彦や高間賢治、大和屋笠、そして、大島渚や佐々木守、赤塚不二夫、松田政男なんかも若松孝二の周辺にいたのかと思うと、これまた使い古された言葉だが、梁山泊だなあと思う。

それでいて、生前の若松を知る数多くのスタッフや役者たちの思いが強すぎて食傷気味な映画になっているかと言えば決してそうではないところがすごいと思った。

門脇麦は白石和彌監督のことをスーパークールな人だと言っている。だから、こういう映画が撮れたのかもしれない。

時代感がよく出た良い映画だった。この先、若松孝二を観てみるかどうかは分からないが。

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Comments

昔、大兄のブログで映画「キャタピラー」に言及されませんでしか?若松の映画が全編テレビで放送されるとしたら、昔のCSの深夜ぐらいかな。この「止め俺」で引用されている映画は全部R-18、成人映画ですから。

Posted by: hikomal | Sunday, October 21, 2018 at 18:31

> hikomal さん

僕の記憶は当てにならないのですが、記録のほうを辿ってみると、観ようかどうしようかと思っているうちに上映が終わってしまい、結局のところ観ていないようです。

Posted by: yama_eigh | Monday, October 22, 2018 at 10:10

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