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Monday, October 01, 2018

鉄道と将棋

【10月1日 記】 台風21号が上陸したとき、関西の鉄道は早々と運休を決めた。昨日の台風24号の際も、関西・関東ともに多くの鉄道会社が早くに運転打ち切りを発表した。

とても良いことだと思う。止めてくれるとあきらめがつくのである。

もちろん、雨が降ろうと槍が降ろうとどこかに急いで行かなければならない人もいるだろうが、どのみち荒天の中どこまで行けるかは知れたものではない。

でも、「とにかく行けるとこまで行こう」というのが人間の心理、と言うか、ひょっとすると日本人特有の気質なのかも知れないが、ともかく日本にはそういう発想をする人が(僕も含めて)少なくない。

そんなもんだから、台風来襲と重なった僕の人生最初の転勤は新大阪から東京まで6時間もかかってしまった。

次の転勤で大阪に戻った後、またもや台風に見舞われた僕の東京出張の帰路は、東京から新大阪まで12時間もかかってしまった。

鉄道だけではない。悪天候によるフライトキャンセルで飛行機が飛ばなかったことはたびたび。

いや、飛ばなかったのはまだマシで、朝から夕方まで伊丹空港で「もう飛ぶか、もう飛ぶか」とアナウンスを待ちながら順番にアポイントメントをキャンセルして結局夜の会食になんとか間に合ったということもあった。

いや、それよりもっとひどい、と言うか、怖かったのは、秋田空港で吹雪の中いざ滑走し始めたものの次第に機首が上がる素振りもまるでなく、いきなりものすごい急ブレーキをかけて飛行機が止まったときだった。

それもこれも全て、鉄道会社も航空会社も乗客も、揃いも揃って「行けるとこまで行けっ!」体質だったせいだ。

今年の2つの大きな台風のときのように、早めに「走らない」「飛ばない」と決定してくれると悩まずに済む。何よりも潔いではないか!──まるで将棋の名人が最後の一手まで粘らずに、「参りました」と負けを認めるみたいに。

そんなことを考えていて、ふと思った。プロの棋士が早めに投了するのは何手も先が読めるからである。先が読めるから無駄な手を打たずに済むのである。電車や飛行機もきっとそうなのだ。

昔は先が読めなかった。でも、今は気象観測と予報の技術が格段に進化して、多分鉄道会社や航空会社も、もう無理して出発しても変なとこで立ち往生したり、違う空港に降りたりするのが関の山だと読めるのである。

道を極めるって素敵なことだなと思った。これで日本人の気質が変わったら、なおのこと素敵だと思う。

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