『スマホを落としただけなのに』マスコミ試写会
【10月29日 記】 今週末に公開される映画『スマホを落としただけなのに』のマスコミ試写会に行ってきた。やっぱり中田秀夫監督は怖い(笑)
主人公の稲葉麻美(北川景子)は、彼女の恋人である冨田誠(田中圭)がスマホを落としたことがきっかけで、誰だか分からない男にスマホ/インターネット上のいろんな仕掛けで狙われることになる。
いくらなんでもスマホを落としただけでここまでひどい目に遭う可能性は低いが、それでもこの映画を見ていると、スマホに紐つけて体に結びつけておきたくなるくらい怖い。
言わばサイコパスものとサイバー犯罪ものが合体した形になっているわけで、怖さは倍加する。こういう設定は日本映画には今まであまりなかったのではないかな(あった?)
ちなみに原作は志賀晃の同名の小説。脚本は『デスノート』や『去年の冬、きみと別れ』などの大石哲也が書いている。
自分がスマホを落としたのであればある程度あきらめもつくのだが、彼氏が落としたスマホで自分が狙われるというのが腹立たしい。いや、腹立たしいよりも、自分のスマホと違って、彼氏のスマホにどんな情報が入っていたのかが不明なだけに恐ろしい。
犯罪映画には倒叙法という描き方もあるが、この映画ではオーソドックスに、誰が真犯人なのかは伏せられていて、最初に犯人が電話するときは声はボイスチェンジャーで変えられているし、顔は長いカツラの影になってよく見えない。
そして、そこから「こいつが真犯人か!?」というヒントが小出しにされるのだが、そのうちのかなりの部分(決して全部ではない)は観客を欺くための罠である。そこを必死になって見極めるのが面白い。
ただ、あるひとつの設定については、僕は「これは要らなかったのではないかな」と思った。
物語をドラマティックに展開するための設定だということは分かるのだが、と言うか、その大きな設定ではなく、その設定を成り立たせるためのひとつの小さな設定──って、何のことだか分からないかな?見た人の中には分かる人もいると思うが、ええい、歯痒い、ネタバレになるから書けないのだけれど、あの小さな設定があったために話に少し荒唐無稽感が出てしまったと思う。
ただ、いずれにしても怖い話だ。大きな音を立てたり突然化け物が画面に映ったりするような怖さではないのだが、犯人が次から次へと畳み掛けてくる手口が怖くて、ほんとにこんな奴に捕まってしまったらどうすれば良いのだろうと思ってしまう。
試写が終わって出てきたら、「この監督、『リング』『らせん』の人だったんですね」と言っている人がいた。マスコミ試写会に来る人でそんなことを知らずに観る人がいたのかと驚いたが、そうなのである。やっぱり『リング』『らせん』の人なのである。
そして、この映画には明らかに『サイコ』を踏まえている部分があり、それを思うとヒッチコックの偉大さが身に沁みる。
てなことも含めて、いろいろツッコミを入れたり、思いを馳せたりしながら観れば面白いと思う。デートで観たら、きっとその後の会話は弾むと思う。でも、彼氏/彼女のためにも、くれぐれもスマホは落とさないように(笑)
Comments
滋賀ではなく、志賀晃です。
Posted by: hikomal | Wednesday, November 07, 2018 22:44
> hikomal さん
ご指摘ありがとうございました。訂正しました。
Posted by: yama_eigh | Thursday, November 08, 2018 00:07