『徹底理解 ブロックチェーン』Daniel Drescher著、株式会社クイープ訳(書評)
【9月13日 記】 インプレスが出しているブロックチェーンの解説書である。
絶妙の比喩を使ってめちゃくちゃ解りやすいという話を聞いて入手した。著者は「はじめに」で「数学や数式は含まない」と宣言しており、Stepごとに確かに解りやすい比喩が用意されていてとっつきが良い。
それに、何かと言えばビットコインの話になってしまうブロックチェーンについて、まずはビットコインと全然関係のない概念説明から入っているところが良い。
と言うか、この本は最初から最後までブロックチェーン技術の概念を理解させるためのものなのである。
でも、逆に言うと、そこに落とし穴があるのも事実で、確かに最初は読みやすくてスルスルと頭に入ってくるのだが、数学や数式もなく比喩を使った概念の話が延々と続くと、やっぱり人は飽きてきて眠くなってしまったりするものである。
途中からでも、もう少し数学やプログラミングに触れて具体性を持たせたほうが、しっかりと頭に入ったかもしれないな、というのが僕の感想なのだが、この辺りは非常に個人差が大きいだろう。
数学と聞いた途端に敬遠する人もいるだろうし、プログラミングの具体論なんて知りたくなくて、ただどんなものかざっくりと掴みたかっただけと言う人もいるだろう。
そういう人にとって、この本はうってつけの教科書なのだろう。
僕の場合は、まあ、とりあえず読み終えたので暫く本棚で休んでもらって、ひょっとしてもうちょっとブロックチェーンに関する具体的な内容を齧ることがあったら、その後でまた振り返り振り返り、この本を読んでみようかなと思った。
僕が思うに、この本を読んでブロックチェーンの基本的な思想をなんとなく理解することはできても、この本を読んで誰かにブロックチェーンとはこういう技術だと具体的に説明できるかと言えばそうではない。
それでは困ると言う人はこの本ではなく他の本を読むべきなのかもしれないが、でも、他の本とこの本を合わせ読んだらもっとよく解るのかもしれない。この本はそういう本だと思う。
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