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Monday, September 24, 2018

映画『響 -HIBIKI-』

【9月24日 記】 映画『響 -HIBIKI-』を観てきた。月川翔監督。

まず驚いたのはアヤカ・ウィルソン。僕はちゃんと名前を憶えていた。いやぁ、大人になったね、きれいになったね。思えば『パコと魔法の絵本』はもう 10年前か。

それは、ま、措いといて、この映画も漫画が原作。昨年のマンガ大賞受賞作品。15歳の女子高生・鮎喰響(あくい ひびき)が圧倒的な小説を書いて、芥川賞と直木賞をダブル受賞する話。

響は自分の考えを曲げない。馴れ合いやごまかしを許さない。許せない相手に出会ったり、暴力的な恐喝に遭うと、相手が暴力を振るう前にこちらから暴力に訴える。

若者に特有、と言うよりも、それを極端化した独善で、しかも暴力を振るうというのは良くない。褒めるべきことではない(月川監督もその辺りの表現に苦心したと言っている)。

ただ、響の場合は一時の激情に流されているのではなく、彼女の中で完全に理屈が通って整合性が取れている。そこがこの天才少女のすごいところである。

で、その響を演じたのが欅坂46の不動のセンター・平手友梨奈。

この辺りの大集団アイドル・グループになってくると僕はほとんど顔と名前が憶えられないのだが、『サイレントマジョリティー』や『月曜日の朝、スカートを切られた』は大好きな歌で、ああ、あのショートヘアの娘か、と思う。確か、紅白歌合戦で過呼吸を起こして倒れたうちのひとりだった。

秋元康は東宝からオファーがあって原作を読み、これはまさに平手友梨奈自身ではないか!?と驚いたと言う。確かにそのとおりだと思う。この映画の成功はまさにこのキャスティングにあったと言って良い。

映画の冒頭、送られてきた郵便物(新人賞への応募原稿)に固定したカメラで、それ自身が出版社内に運ばれて行く画がめちゃくちゃに面白い。

編集者・花井ふみ(北川景子)を、まるで向かい側の席から立ち上がって見下ろしているような構図も新鮮だった。

動物園の入り口での気まずい感じの4ショットをカットを割らずに進めたのも気に入った。撮影は鍋島淳裕だ(僕はこの人の映画 17本目)。

マンガの構図をそのまま取り入れているシーンも少なくないようで、海水浴場で土に埋まって読書している響を反対側から凛夏(アヤカ・ウィルソン)が覗き込んでスマホを渡すシーンなど、結構印象に残る場面が多い。

映画を通じて今回は感情を伝えるためのアップの画を押えていないと言う。その構成がテンポを産んでいると思う。

才能が枯れてしまった芥川賞作家・鬼島(北村有起哉)、響と並んで新人賞を受賞した自信満々・唯我独尊の田中(柳楽優弥)、響を執拗に追い回す週刊誌記者・矢野(野間口徹)、世間と上司の顔色ばかり気にするゲスな編集長・神田(高嶋政伸)、命がけで小説を書き四度目の正直で芥川賞を狙う山本(小栗旬)…。

──響にやり込められる大人たち/男たちのダサさと、響のある意味スカッとする妥協のなさが、心地良いほどの対照で描かれる。

脚本は西田征史。よく整理のついた本だ。響の普通に少女っぽいところもさりげなく入れてある。

平手友梨奈はこんな映画で女優デビューさせてもらって本当に幸せだと思う。この目ヂカラは天性のものなんだろうと思うのだが、次は明るく笑い転げる無邪気な役も観てみたい。身体能力も極めて高いのでアクション映画も行けるだろう。将来楽しみなスターである。

平手自身が歌っているということもあるが、エンディング・テーマがこれほど映画の持つムードにマッチしているのも珍しいと思った。

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