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Monday, August 27, 2018

『昭和歌謡職業作曲家ガイド』馬飼野元宏(書評)

【8月27日 記】 この本の存在は知っていたのだが、実際に本屋で手にとって立ち読みしてみると、もはやこれを家に持って帰らないという選択肢はなくなってしまった。

素晴らしい本である。ただし、単に昭和歌謡のヒット曲を思い出して懐かしむというだけの人にはもったいない。この本で取り上げられているのはタイトルにある通り「職業作曲家」なのであるが、この本を書いているのも紛れもなく音楽の「職業分析家」なのである。

つまり、これはある意味、歴史的な実例に基づく音楽理論の教科書でもあるのだ。

ぱらぱらと見ていくと、昭和を彩った数々の作曲家の数々のヒット曲が紹介され取り上げられているのだが、人選も非常に適切である上に選曲が絶妙に良い。

1曲1曲に添えられた解説も、単にその歌がヒットしたという現象をなぞるものではなく、短い文章の中にも「この曲はここがポイント!」という部分を非常にコンパクトに指摘し、押えるべきところを押さえてある。

個人的にはもう少し(これの倍くらい)楽譜があればもっと素晴らしいと思うのだが、楽譜は提示せずコード進行だけを分析した箇所にも、「ああ、あれはそうだったのか!」という納得感がある。

音源だけではなく、こういう解説書も一緒に保存して後世に伝えてこそ、昭和歌謡のエッセンスが理解され、生き残り、生まれ変わって行くものだと思う。

この本は僕にとっての家宝であるが、流行歌の歴史の中でも重要な資料になると思う。

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