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Sunday, July 01, 2018

映画『パンク侍、斬られて候』

【7月1日 記】 映画『パンク侍、斬られて候』を見てきた。町田康の原作はとても有名な小説だが、残念ながら僕は読んでいない。でも、監督が石井岳龍、脚本が宮藤官九郎となると、もうそれだけで期待が膨らんでくる。

加えてこのキャストである。

主人公の浪人・掛十之進に綾野剛。十之進が抱えられる黒和藩の正論しか言わない藩主に東出昌大。黒和藩の超気弱な家臣に近藤公園。同じくゆとり世代みたいな家臣に染谷将太。十之進に差し向けられた刺客に村上淳。

黒和藩と一戦を交える新興宗教の教祖・茶山に浅野忠信。黒和藩に雇われた超能力者の馬方に若葉竜也。黒和藩の密偵に渋川清彦。

──ここまで見ただけでも、よくまあこんな曲者ばかり揃えたな、という布陣である。役柄が役柄だからそれで良いのであるが、壮観としか言いようがない。

彼らに加えて紅一点で北川景子が入り、これは茶山の身の回りの世話をしている女の役。さらに、黒和藩で対立する2大派閥を率いる筆頭家老に豊川悦司、次席家老に國村隼と実力のある役者で脇を固めて、これでもう万全である。

で、それで終わりかと思ったら猿が出てくる。この猿が出てきたときに、この喋り方は聞き覚えがあるし、この声はこの映画のナレーターでもあることはすぐに気がついたが、何しろ猿の特殊メイクをしているので誰だか分からない。

エンディングで名前を見て大喜びしたのは僕だけではないだろう。

さて、もうあらすじなんか書かない。書いたってしょうがない。ある意味バカらしいのなんの(笑) 途中少し眠くなったりもしたが、それでも「めっちゃ面白い」としか言いようがない。

タイトルからも想像がつくように、これは普通の時代劇ではない。初っ端から台詞に現代っぽい語彙や外来語が平気で出てくる。会話はまさに宮藤官九郎ワールドである。

展開は気まぐれでむちゃくちゃで、それでこそパンクである。

染谷将太が良いことを言っている:

この企画そのものが現代社会への腹ふり行為であり、パンクですよね。

腹ふり行為が何なのかは映画を見れば判る。いや、もとい、映画を見てもさっぱり解らない。それでこそパンクである(笑)

時代設定が何であれ、刀でどれだけの人が斬られようとも、これはもはや時代劇ではない。これは宇宙のカオス劇である(この特撮を見よ!)。

原作者の町田康が、最初に十之進に斬られる巡礼役で出演している。彼は石井聰亙(当時)監督の出世作『爆裂都市』にまだ町田町蔵の名前で出演していた(僕はこれも観ていないのだが)。宮藤官九郎も石井聰亙/岳龍監督の崇拝者だとか。

そういう意味で、石井監督ゆかりの人たちが集まった、石井監督へのリスペクトに溢れた石井作品だったと言えるのではないか。あの癖の強い宮藤官九郎の色が完全に石井岳龍に溶け込んでいたのが素晴らしいと思った。

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