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Tuesday, June 19, 2018

映画『犬ヶ島』

【6月19日 記】 映画『犬ヶ島』を観てきた。何なんですかね、これ? 一体何なんだろ? こんなもの作って何になる?と言うか、監督は何がやりたくてこんなものを作ったんだろう?

いや、面白くないと言ってるんじゃないんです。それどころか面白いのなんの!

監督はアメリカ人である。舞台は日本である。出てくるのは日本人と犬である。日本人は日本語で、犬は英語で話し、ナレーションは英語である。

で、実写ではなくストップモーション・アニメである。少しコマ数を落としてわざとカクカクした動きにしてある。そして、その人形の背後のセットの細かいこと! 犬と人間の動きの面白いこと!

この訳の分からないものにこれだけの情熱と労力を注ぎ込むウェス・アンダーソン監督の真意が解らない(笑)

僕が邦画優先で観ているということもあって、今までウェス・アンダーソン監督の作品は一度も見たことがなかった。ただ、『ザ・ロイヤルテネンバウムズ』『ダージリン急行』『グランド・ブダペスト・ホテル』はいずれも一度はリストアップしながら見逃した作品である。

そういう意味ではずっと気になる存在であったわけだ(ただし、その3本が同じ監督によるものだという認識はなかったがw)。

この映画は、世界中の観客のうち日本人だけが多分ちょっと違った捉え方、楽しみ方をするだろう。この映画で描かれている日本がほどよく間違っている(笑)からだ。

監督は多分それを狙ってやっているわけではないし、逆に気づかずにやっているわけでもないと思う。言うならば、「お構いなしに」やっているのである。そんな気がする。

日本の映画や浮世絵などの影響を受け、それらに対するリスペクトは充分にありながら、それを忠実になぞろうなんて発想はまるでなくて、そういう日本的な土壌から彼の自由なイメージが芽吹いて伸び放題になっている感じである。

舞台となっている「ウニ県メガ崎」という地名が秀逸である。茅ヶ崎でも長崎でも立派な日本の地名なのに、それが「メ」になった途端にメガ級の怪しさが出てくる。おまけに「メ」と「ガ」を縦に並べて縮めて書かれると中国の簡体字みたいに見えるのである。

物語は、犬を迫害し全市から犬を追い出してゴミの島に閉じ込めようとする市長と、そのゴミの島に単身渡って愛犬を助け、引いては犬たちを解放しようとする少年の話で、ちなみに少年は市長の養子という設定になっている。

などと書くとファンタジーっぽいアニメを想像するかもしれないが、冒頭から犬は病気に侵されて皮膚がただれていたり、少年は飛行機事故でボルトが頭に刺さっていたりで、何とも言えない味がある、と言うと変だが、でもまさに独特の「味がある」としか言いようがない。

ここには僕らの知らない日本がある。そして、僕らでさえ知らない黒澤明や宮崎駿へのオマージュが込められている。

で、いちいち書かないが、とんでもなく有名な俳優たちが声優を務めている。ヨーコ・オノという役名があって、その声を演じているのがこれまたヨーコ・オノで、ほんまもんかいな?と疑ってみるのだが、どうやら本物らしい。

まあ、この監督はそれだけの人たちが集まってくる存在なのだということなんだろう。変な映画である。でも、その変なところに思いっきり精力を注ぎ込んで作り込んであって、とんでもなく面白かった。

上に挙げた実写の3作品もあらためて観てみたい。

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