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Saturday, June 16, 2018

映画『万引き家族』

【6月16日 記】 映画『万引き家族』を観てきた。

最初に書いておくと、良い映画だったとは思うのだが、期待が大きすぎたのか、正直それほどでもなかった、という感じ。『空気人形』や『歩いても 歩いても』や『海街diary』を観た時のような衝撃はなかったと言える。

そもそも僕にとって是枝裕和監督のベストは『誰も知らない』でも『そして父になる』でも『海よりもまだ深く』でも『三度目の殺人』でもなく上の3本だから、僕の感性がみんなと違うのかもしれない。

ちなみに妻も「『誰も知らない』に似ていたけど『誰も知らない』ほどの衝撃はなかった」と言っている。ま、変わり者夫婦なのだろう(笑)

エンドロールを見て驚いたのは撮影監督が近藤龍人だったこと。この組合せは初めてだろう。すごい組合せではないか。だから、今までと少し違う感じがしたのかな?

そして、パンフを読むと、最初は絵コンテを書いていた是枝監督が、途中から全てを近藤に任せたと言う。すごい話だ。

終盤の警察の取調室での安藤サクラとリリー・フランキーの、ずっと正面からのアップで、ノンストップで彼らに喋らせた画は圧巻だった。そして、役者たちもそのプレッシャーに応える見事な演技だった(恐らくアドリブ的な部分もあったのだろう)。

狭く汚らしい家に、家族でない家族が住んで、家族よりも強い“絆”がある。でも、彼らは貧しくも清く美しく生きているのではなく、その生計は万引きで支えられている。

──よく考えられた設定と、よく考えられた筋運び。それぞれのシーンに「含み」を感じさせる巧い撮り方だ。でも、僕には少し“知”が勝ちすぎているように感じられた。いかにも頭で考えましたという感じがするのだ。

ただ、それでも、全体としてのこの構成力は並外れたものであり、誰もいない建築現場で思わず「ただいま」と言ってみるリリー・フランキーだとか、見えない花火の音だけを家族全員で楽しむとか、個々のエピソードも秀逸だ。

おまけに樹木希林をはじめ2人の子役を含めて出演者全員が素晴らしい演技である。特に松岡茉優が安藤サクラやリリー・フランキーに見劣りしない芝居をしていたのに好感を覚えた。

高良健吾、池脇千鶴、池松壮亮、山田裕貴ら主演級の役者が脇で出てくるのにも驚いた。

ま、とても良い映画であることは間違いない。

パンフに内田樹がコラムを書いていて、これがめちゃくちゃおもしろかった。

ひとつはこの家族は治(リリー・フランキー)と信代(安藤サクラ)が子どもたちを他所の家から「万引きしてきた」、という指摘。

もうひとつは、樹木希林がかつて出演していた『寺内貫太郎一家』ではちゃぶ台を囲んで家族の座る位置は厳格に決められていたが、この映画の家族にはその取り決めがなく、立場もなく義務もなく、ただいるだけで良いのだ、という指摘。

こういうのを読むと、なるほど、映画というものは観客の力量を試すものだと思う。今回の映画のついては、僕の力量が及ばなかったのかもしれない(笑)

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