音頭
【5月22日 記】 深夜ドラマの『やれたかも委員会』が好きだ。ものすごくデトックスになる。で、このエンディングで流れているのが shiori によるカバー『君のひとみは10000ボルト』だ。
この曲、1978年に堀内孝雄が発表したときから思っているのだが、リズムとの兼ね合いを考えると区切れがおかしいのだ。
つまり「きみの・ひとみは・いちまん・ボルト」ではなく「きみのひ・とみはい・ちまんぼ・ると」になっているのである。
特に「き」から「い」までは同じ高さの音なので、メロディラインでアクセントをつけることができない。そうするとどうしても強拍・弱拍でことばが区切れてしまうのだ。
こんな風に切れ目のおかしい歌は時々あるのであって、僕が昔大いに気になったのはイルカの『なごり雪』である。
こちらは「なごり雪も 降る時を知り」とは聞こえずに、「なごり雪も 降る時 お尻」と聞こえてしまう。みんなあんまり気にしていないかもしれないが…(笑)
ところで、『君のひとみは10000ボルト』だが、これの区切れを意味と音で揃えようとすると、「きみのひ・とみはい・ちまんぼ・ると」ではなく「きみのー・ひとみは・いちまん・ぼるとー」と間延びした感じになって、これではまるで音頭である。
リズムを少しシャッフルして「きっみのぉ・ひっとみぃは・いっちまん・ぼるとー、ちっじょうに・おりたぁ・さっいごの・てんしー」とすると、まさに「ドンドコドン、テケテッテ、ドドンコドン(、テケテッテ)」という音頭のリズムに合ってくる(「テケテッテ」は和太鼓のリム・ショットである)。
音頭をフォークやポップスに取り入れる試みは、まあ、岡林信康なんかもやっていたけど、やはり大滝詠一が第一人者だろう。ナイアガラ・フォーリン・スターズ名義で出した “LET’S ONDO AGAIN” という素晴らしいアルバムがある。
発売は奇しくも『君のひとみは10000ボルト』と同じ 1978年である。
『君のひとみは10000ボルト』のリズムを変形してみて、はあ、音頭ってこういうリズムだったのかと改めて気づいた春の宵である。
Comments