銀座の広島
【5月31日 記】 ひろしまブランドショップ TAU ではっさく大福を買った。見た目が美味しそうだったのと、「これめっちゃ美味しいんだよ」と言ってる客がいたので。
買って帰って食べてみると、果たしてこれが旨い。「おいしいね」と夫婦で言っていると、知り合いの女性が facebook でまさにこのはっさく大福の写真をアップして「これ大好き!」などと書いているから驚いた。
聞いてみると彼女も銀座の TAU で買ったとのこと。僕ら夫婦はこの店にはよく出入りしていて、大概買うのは広島のレモン、あとは牡蠣の加工品とか。ちなみに店名の「タウ」は広島弁で「届く」の意味だとか。
この手の店でウチがよく行くところがもう一軒あって、池袋の宮城ふるさとプラザ COCO MIYAGI である。ここでの狙いは(たまにしか出ていないが)サンマの一夜干しである。
東京はさすが首都だけあって、この手の店がたくさんある。気になって調べてみたら、1都1道2府43県全てのアンテナショップがある。
中には鳥取と岡山、香川と愛媛みたいに2県で1店舗というところもある。23区内とは限らず、長野のように立川に店を構える県もある。が、とにかく全部あるのである。
1都1道2府43県ということは、つまり東京都のアンテナショップもあるのだから驚いてしまう。
そして、これらの店の多くが銀座~有楽町界隈に集中している。
この日も広島県のショップを出て、銀座2丁目から有楽町駅のほうに歩いていたら、やおら山形県のショップが登場して、ついついいろんなものを買ってしまった。そこを出るとさらに沖縄県のショップが目に入ったが、さすがにこの日は辛抱した(笑)
こういう店の集中を見ると、思い出すのが我がふるさと大阪は梅田の地下街にあった「ふるさと名産横丁」である。
もうなくなって何年も経つが、僕が物心ついたときにはもうあったので、なくなってからの年月の何倍もの長きにわたって、僕らはその店々を見てきた。実際見てきただけで自分で買ったことは一度もないのだが。
梅田の古い地下街の壁に沿って、ほんの一畳ほどの広さの店が並ぶ長い区域にも、やはり日本中のほとんどの(全部ではなかったと思うが)府県の店があった。
旅行に行ってお土産を買い忘れた人が、大阪に戻ってからでもここで買えばなんとかなった。あるいは家族には出張と偽ってどこかで浮気をしていたりしたおやじが、ここで地域の名産品を買ってから家に帰ったりもした。
だから「言い訳横丁」とか「アリバイ横丁」などという呼び方もあった。よくできていたのは包み紙まで現地の土産物屋と全く同じだったということ。そんじょそこらではばれないアリバイが作れたのである。
これを今の東京のアンテナショップ群と比較すると、明らかに違うのは、梅田の地下街にあったのは各地の特産品・名産物ではなく、いかにも各地の土産物屋に並んでいそうな定番商品だけだった。
もちろん県のアンテナショップなどという機能もなかったはずだ。
大阪と東京の気風の違いということもあるだろうが、時代の違いということもあるだろう。
今は旅行に行ったからと言って必ずお土産を買うというものでもない。昔はお土産を買い忘れたら肩身の狭い思いをしたし、お土産を買わなくて良いように、旅行に行く前も帰ってからも限られた人にしか話をしなかったりしたものだ(その限られた人には当然お土産を渡していたが)。
今は東京で美味しいもの(あるいは人によっては懐かしいもの)を味わったり楽しんだりするためにある。そして、県の何が売れ筋なのかを調査するためにある。他人や他県のためではなく、自分のためにあるのである。
これはこれで素敵だ。そして、はっさく大福はかなり旨い(笑)
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