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Sunday, April 29, 2018

映画『いぬやしき』

【4月29日 記】 映画『いぬやしき』を観てきた。原作は奥浩哉の漫画、監督は佐藤信介。

この映画、予告編が結構壮絶すぎて、却って「実際観てみたら予告編が全てだった、みたいな映画じゃないの?」などと言われたりしていたが、観てみたらいやはやめちゃくちゃ面白かった。

2人の男が夜中の公園で謎の光に襲われて、気がついたら機械仕掛けの身体になっていた、という話。

ひとりは高校生・獅子神(佐藤健)。クラスではあまり目立たない存在だが、(佐藤健が演じているからそうなったのかもしれないが)カッコよくて、密かに思いを寄せるクラスメイト(二階堂ふみ)がいたりもする。

もうひとりは会社では仕事ができず、家でも家族に疎まれ、それでもなんとか日当たりの良くない土地とは言え一戸建てを買ったと思ったら、ガンで余命幾許もないとの宣告を受けたサラリーマン・犬屋敷(木梨憲武)。

獅子神は自分の身体の異変に気づいた瞬間からその能力を使いこなして鳥を撃ち、無人の車を動かして衝突させ、友人の安堂(本郷奏多)を虐めていたクラスメイトを懲らしめるなど派手に動き出す。

一方、犬屋敷のほうはまず何があったか信じられず、勝手に変形する自分の肉体を制御できず、やっぱり普段と同じようにおどおどするだけの毎日である。

その2人が、一方は気に入らない人間を片っ端から殺すという悪行に走り、他方は自分に瀕死の人間を治癒する力があることに気づいて人助けを始めるという対照が面白い。

で、何がすごいって、まあ、これは誰もが指摘することだろうが、CG をはじめとする特撮がすごい。身体だけではなく動いている顔の表情まで CG で再現したと言うが、観ていても本物の顔を埋め込んだのか一から CG で作ったのか全く見分けがつかない。

手が銃になるとか背中からロケットが出てくるなんてシーンはいろんな作品で見てきたが、顔がカパッと開くなんてのは前代未聞である。で、開いた中身がどこもスカスカな感じがするのがユーモラスだ。

そして、新宿の上空を縦横に駆け巡って対決する獅子神と犬屋敷のバトルシーンの疾走感と爆発力は半端ではない。ビルを横にした構図(と言われても何だか分からないかもしれないが、見れば分かる)もめちゃくちゃ面白い。

でも、この映画の最もすごいところは、特撮シーンではなく普通の人間のシーンのカメラワークだと僕は感じた。ここで寄る、ここではあおる、といったカメラの動きが見事に適切で、画作りで観る人の心を動かしている感じがした(ちなみに撮影監督は河津太郎である)。

いや、人の心を動かすと言っても別に何かシリアスなメッセージが込められているわけではない。端的に言って娯楽作品である。でも、政府や警察トップの対応の描かれ方にある種のメッセージを読み取ることはできるし、その辺は見る人次第だ。

木梨憲武を起用したのも大成功で、特殊メイクでものすごい老け方をして如何にも情けない初老の男という感じなのが、決して正義のヒーローや無敵の超人に突然変異するのではなく、普段の感じを引きずったまま空を飛び壁に激突する姿が逆に強い印象を与えてくれるのである。

予告編が全てだなんてとんでもない。めっちゃくっちゃおっもしろかった。大満足である。

観客におっさん・おばはん率が高かったのは、やっぱり犬屋敷に自分を見ているからなのだろうか(笑)

しかし、それにしてもこの大作映画、フジテレビ/東宝/講談社の3社だけの出資とは恐れ入った。財力も胆力も大したもんである。

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