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Sunday, March 25, 2018

映画『去年の冬、きみと別れ』

【3月25日 記】 映画『去年の冬、きみと別れ』を観てきた。

瀧本智行監督の作品は今まで『脳男』と『グラスホッパー』の2本を観た。まあまあ面白かった。ただ、僕にとって追いかけるような存在ではない。

この映画の原作を書いた中村文則の小説は『教団X』1冊しか読んでいない。あまり惹かれなかった。この映画も多分あんな感じなんだろうなという想像がついた。

さて、では見終わって面白くなかったかと言えば面白くはあった。画もきれいだった。特に光の変化が美しかった。

オフィスの窓の外の白く抜ける晴天。夕焼けの赤い光に満ちた朽ちかけたビル。図書館のカーテン越しの薄い光と各テーブルに灯るスタンド。大雨の暗い屋外。燃える炎に照らされた赤い顔。わざと表情だけを隠した暗い照明…。

そもそもは予告編で見た斎藤工の悪役ぶりに魅かれた。この危ないキャラクターを斎藤は期待通りに好演していた。そして、線の細い青年として現れ、次第に新たな側面を見せてくる岩田剛典も良かった。

ただ、とても陰惨な話である。僕はこういう話は好きではない。人間の負のエネルギーが満ちて来る話である。

筋運びは見事である。第二章から始まって第三章から第一章へと戻る。映画で時間を前後させるのは常套手段だが、こうやって名前を付けると観客にいきなり疑問を持たせることになり、新規な手法になる。

中盤で、あら?随分と種明かしが早いな、と思ったら、当然その後もっと大きな展開がある。

ただ、やっぱり、こういう小説を書く人はなんとしても読者の予想を外してやろうというという変な力みに囚われるのではないだろうか。見事に辻褄が合っている一方で、無理やり辻褄を合わせた感も避けきれず残ってしまう。

海の回想シーンを持ってきて、それが陰惨な話に多少救いをもたらしているのは僕も認める。タイトルも秀逸である。読んでいないので何とも言えないのだが、多分原作をとても上手に映画化できたのではないかな、とは思う。

岩田剛典にとっても瀧本監督にとっても代表作になるのだろう。僕はどちらも追いかける気はないけれど。

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